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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第十三話 芋の皮むき
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ものの、その劣勢は誰の目にも明らかだった。

「聞こえるか、ミーナ!! 501基地、聞こえているのなら応答してくれ……!!」
《…………………………》

 必死に呼びかける無線から応答はなく、ただ耳障りなノイズが洩れるだけ。もどかしさにインカムを投げ捨てる。
 ――果てして、この通信の不調がネウロイの仕業であると看破できる人間がこの時代に何人いただろうか? 高速で飛翔するネウロイがふりまく雪のような小片――チャフ≠ニ呼ばれているそれが、通信を妨害している原因だった。

「はぁ、はぁ、これは……マズいな……」

 口が渇き、視界が揺れる。明らかに魔法力を消耗しすぎていた。
 和音の忠告を聞き入れなかったことを今になって後悔するバルクホルンだったが、既に後の祭りというものだった。この絶好の隙をネウロイが逃す筈もなく――


「――させるかァ!!」


 瞬間、耳に馴染んだ機関銃の発砲音が響き渡り、目前まで迫っていたネウロイが反転して距離をとった。全身の力を振り絞るようにして振り向くと、そこには憎らしくも頼もしい、部隊の戦友の姿があった。

「バルクホルン!! はやく、こっちに来い!! コイツらはわたしが引きつける。お前はさっさと離脱しろ!!」
「あ、ああ……すまない……くっ……!!」

 マーリンエンジンの性能にモノを言わせたシャーリーは、間一髪救援に間に合った。機速を落とすことなくネウロイに肉薄するシャーリーは、愛銃のM1918を雨のように浴びせかける。振り切ろうとするネウロイを逃がすことなく、シャーリーは粘り強く追撃をかけてネウロイをバルクホルンから引き離していった。

「すまない、リベリアン……」
「いいから!! ここは私に任せてさっさと――――なにっ!?」

 武装を投棄し、バルクホルンが離脱に転じようとした、まさにその時だった。
 突然ネウロイが変形し、凄まじい加速をもって反撃の転じてきたのである。

「コイツ……強いぞ……!!」

 シャーリーのP-51と互角に張り合って見せるネウロイなどそうはいない。ましてや変形能力を持つタイプなど未だ観測されたことはなかった。間違いなく、敵の新型ネウロイである。
 ここを突破させるわけにはいかない――シャーリーが猛然と追撃をかけ、背後から必殺の銃撃を見舞おうとトリガーを引き絞る。

「……って、弾詰まりかよ!!」

 カチン、カチン、と頼りない感触を返す愛銃は、ここにきて最悪の故障を迎えてしまった。生産性と耐久性を重視するあまり武装を失ったウィッチなど、もはや空飛ぶ的も同然だ。目ざとくもそれを認めたネウロイがゆっくりと反転し、為す術の無くなった二人のウィッチに狙いを定めた。

「チッ……!! こうなったら……こうしてやるっ!!」

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