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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第十三話 芋の皮むき
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悪、呼び戻す途中で追いつかれかねない。

「こちらミーナ。トゥルーデ、聞こえる? 敵ネウロイが出現したわ。テストは中止、すぐに基地に戻って!!」

 通信機に向かって吼えるミーナに届いたのは、やや憔悴したバルクホルンの声だった。

《いや……それは間に合わない。こちらも目視で確認した。かなり足の速い相手だ。基地からの迎撃では間に合わない。ここで……わたしが、時間を稼ぐ。だからその間に――》
「トゥルーデ!? 聞こえているのなら応答して!! バルクホルン大尉!!」
《…………………………》

 不明瞭なノイズだけを残して沈黙してしまった通信を悲愴な面持ちで見やるミーナ。しかし、すぐさま指揮官としての自分を取り戻すと、素早く判断を下し命令を発する。

「整備班は格納庫に戻ってユニットの発進支援!! イェーガー大尉!!」
「任せとけって、隊長」
「私たちの中で一番早いのは貴女よ。すぐにバルクホルン大尉の救援とネウロイの迎撃に向かて。こちからも増援を送るわ」
「了解!!」

 部隊で最速を誇るシャーリーは、ミーナの命令を受けると同時にユニットへ足を通し、目にも止まらぬ速さで滑走路を駆け抜けていった。
 つづく増援もただちに武器とユニットの準備を終え、宮藤とリーネ、ペリーヌの三人が出撃してゆく。

「坂本少佐! ミーナ隊長!」

 そこへ駈け込んで来たのは和音だった。今しも出撃しようとしていた三人すら振り向かせるほどの剣幕で整備兵を怒鳴りつけると、有無を言わさず安置されていたF-15Jを引っ張りだす。出撃しようとしていることは明らかだった。

「もう今からじゃレシプロストライカーの速度では追いつけません。追いつけるとしたらシャーリーさんか、あとはわたしだけです!!」

 飛びつくようにユニットに脚を通し、半ば強引にエンジンを起動させる。ガランド少将によるメンテナンスが功を奏したか、心なしかエンジンの調子も良いようだった。

「バルクホルン大尉の救援にはわたしが行きます。宮藤さんたちは別働隊を警戒してください!!」

 それだけを言い捨てると、和音は返事を待たずして滑走路を爆走する。凄まじい轟音と白煙が滑走路を包み込み、そしてあっという間に離陸していった。


(バルクホルン大尉……無事でいてください……!!)





「くぅ……!! バカな……このわたしが追いつけないなどと……!!」

 単騎でネウロイの足止めを買って出たバルクホルンは、すでに満身創痍だった。
 カールスラントが世界に誇るエースは、しかし今や肩で息をするのが精いっぱいだ。矢のような速さで飛ぶネウロイを落とすことはおろか、抱えた50mmカノン砲を支えることすら覚束ない。エースとしての本能が辛うじて空戦を成り立たせている
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