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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第十三話 芋の皮むき
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していた。まだ誰一人として越えた事の無い音速の壁――
 それを越えられるのか否か。
 機速における優位は空戦における優位に直結する。ジェットという未知の産物が果たしてどこまで限界を越えられるのか。皆が固唾をのんで見守る中、いよいよMe262はその身に秘めた力を解放しようとしているのだった。





 ――和音の自室

「バルクホルン大尉……大丈夫かな……」

 登場割から外れ、基地待機となった和音は、何をするでもなく自室で時間を潰していた。炊事洗濯はリーネと宮藤の領分で、書類仕事などは到底手伝えない。ユニットの整備にしたところで時代の違いから知識も技術も十分でなく、おまけに今日はMe262の試験で基地は持ちきりだ。何もすることなどない。

「はぁ……暇だな……」

 ゴロリとベッドに横になる。窓からは宙に軌跡を描いて飛ぶバルクホルンの姿がはっきりと見えた。今しも曲芸飛行のような軌道を終えたバルクホルンは、一度大きく旋回するとさらに上昇し、地面と水平の姿勢のまま直進し出す。

「900km/h越えればこの時代ならいい方なんだっけ?」

 確かそうだったはず、と胡乱な頭で記憶を辿る和音。
 もっとも、900km/h程度なら和音のF-15をはじめ、たいていのジェットストライカーは出せてしまう。無論、個々の性能や運用方針は様々ではあるが。
 大気を裂いてぐんぐんと加速し始めるMe262を、知らず魔眼を使って追いかける和音。凄まじい排気音を轟かせて飛ぶそれは、「天使に後押しされる」というよりも「鬼神が追い立てている」ようにも見える。

「まだ機種転換の訓練だって十分じゃないはずなのに……凄いなぁ……」

 まだ碌に運用ノウハウもない時代である。にもかかわらず、バルクホルンはしっかりとMe262を御していた。その飛行には和音も素直に感心し、そして安心した。
 できればこのまま何事もなく終わってほしい――
 切実にそう思った和音の祈りは、しかし聞き届けられることはなかった。


 ウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ――――――………………!!!!!!


「警報!? ネウロイ!?」

 けたたましく鳴り響いたサイレンの音に跳ね起きる和音。
 最も来て欲しくないタイミングで、最も相対したくない存在と出会ってしまう。
 慌ててジャケットを着こんだ和音はドア蹴破るようにして廊下に飛び出すと、格納庫へと駆けて行った。







「敵襲だと? よりにもよってこんなタイミングで!!」

 鳴り響いたサイレンの音は当然滑走路に居た坂本らにも聞こえていた。
 ネウロイの出撃予報から外れた日に組んだテストだったが、やはり敵は現れた。しかも不味いことにバルクホルンは基地から遠く離れてしまっている。最
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