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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第十三話 芋の皮むき
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 ――ロマーニャ基地 司令室

「はぁ……あまり、良い空気ではなかったわね……」
「夕食の席でのことか、ミーナ」
「ええ。まさか沖田さんがあそこまで強硬に主張するとは思わなかったわ……それに、トゥルーデも」

 夕食後。既に皆が自室に戻った時間に、マグカップを片手に溜息をついていたのは、膨大な書類に目を通して判を押すミーナだった。窓の傍には坂本が控え、ミーナの書類を手伝っている。しかし、今夜に限っては二人の仕事のペースも遅く、時折溜息が混じる。
 問題は他でもない。
 夕食の席で、沖田がバルクホルンに対して執拗に試験の中止を迫った事だ。



――いいですか、まだ技術的にも未完成な試作機で無茶なテストを続ければ、大尉は飛べなくなってしまうかもしれないんですよ!? それでもいいんですか!?



 いつもは温厚かつ真面目な和音が語気を荒げたことに驚いたのも一瞬、戦況を覆すほどの可能性を秘めた実験機の試験を中止するべきだなどという前代未聞の進言に、ミーナはもとより、坂本も目を丸くしたのだった。
 
「我々の中では唯一、ジェットストライカーが主流となった時代の生まれだからな……もう少し詳しく話を聞いてやるべきだったのかもしれん」

 腕組みをして言う坂本だったが、それに異を唱える声があった。

「――いや、そんなことはない。あの機体は今後も試験を続行すべきだ」
「バルクホルン……聞いていたのか」

 司令室の扉の前で、腰に手を当てて立っていたのはバルクホルンだった。
 察するに話を聞いていたらしい。

「ねぇトゥルーデ。貴女が優秀なウィッチであることは誰もが知っているわ。でも、私たちにとってジェットストライカーは未知の産物よ。沖田さんの言葉にも耳を傾けるべきじゃないかしら?」

 コトン、とカップを机に置いてミーナが言う。部隊を預かる人間として、無視できるような話ではない。
 しかし、バルクホルンの反応は頑なだった。

「アイツは技術的に未熟だといっていたが、そんなことはない。大体、未来の産物と比較して十分な技術水準にあるものを持って来いというのが土台不可能な話だろう。沖田のストライカーだって、おそらくは我々の時代から続いてきた研究の成果のはずだ。違うか、ミーナ?」
「それは……確かにそういう面は否定できないけれど……」

 実際、バルクホルンの言い分にも一理ある。
 あらゆる物事は結局のところ積み重ねであり、ジェットストライカーもその例外ではない。F-15にしたところで、各国が長年積み重ねてきた研究や試験の果てに生み出されたものであることは否定できないし、それと比較して技術レベルが低いのはむしろ当然であるのだ。

「そもそも、試験機に問題はつきものだ。どんな問題があり、どんな長
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