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Magical Girl Lyrical NANOHA− 復元する者 −
第5話 NIGHT-WALK
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「途中で言うのを止めるな。気になるだろ?」


恐る恐る話し出すが、聞き返すと止めてしまう。
気になったので問い掛ける。


「何が聞きたいんだ?」

「……貴方って……魔導師?」

「そう見えるか?」


フェイトから質問に肩を竦めて返す。
そういえば彼女とは会うのは此れで二回目だが、互いに名乗っていないなとボンヤリとしながら思う。


「僕は『魔導師』じゃない、『召喚せし者(マホウツカイ)』だ」

「『召喚せし者(マホウツカイ)』?魔導師とは違うの?」


葛葉がフェイトの疑問に首を横に振る。
そして、苦笑いを浮かべながら答えた。


「色々な説明を省くと、端的に云えば……人の形をした“化け物”さ」

「!?」

「君らの使う“魔法”なんて、僕には何の脅威でもない。この世の如何なる物であろうと僕を傷付ける事も出来ない……人のあらゆる常識を超えた存在……それが『召喚せし者(マホウツカイ)』だ」


前を向いたまま、自分の事を簡単に説明する。
繋いだ手から彼女の驚きの感情が伝播してくる。


「怖い?」

「え?」

「得体の知れないモノ、理解出来ないモノに人間は驚きや恐怖を持つ。怖がっても別に構わないよ?僕は気にしないしね」


葛葉は振り返り、フェイトに向かって言い放つ。
フェイトは、自分に顔を向けて語りかけてきた葛葉の表情を見て、心を痛めた。
笑っている様で……だけど悲しげな顔付き。


(何で……そんな顔をするの?)


微笑みながら自分の事を蔑んだ言い方をする葛葉に、フェイトは胸を締め付けられる。
あの日、公園で最後に見た後ろ姿と重なる。
酷く悲哀を帯びたその背中と、今、彼の浮かべている表情。
どちらもとても悲しく見えた。

手を引いてくれている少年は、既に正面に向き直り、自分の説明した道順を通っている。
直ぐに彼の言葉に反論出来なかった自分自身が不甲斐ない。

化け物なんかじゃない。

化け物は親切にしてくれない。

化け物はそんな顔をしない。

フェイトは繋いだ手に思わず力が籠る。
彼女の口から言葉が紡がれた。


「怖くない」

「え?」

「怖くないよ」


はっきりと口にする。
恐怖を微塵も感じない声色。
確りとした意思を持った口調。

「私に貴方を恐がる理由はない。化け物は家まで送り届けてなんてくれないよ?昔読んだ絵本に書いてあった」

「……っぷ……絵本で読んだ内容を未だに信じてるのか?純粋だな」

「馬鹿にしてる?」

「いえいえ……滅相もない」


正面を向いたままの少年をジト目で睨む。
此方に顔を向けてこないので表情は分からないが絶対に
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