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Magical Girl Lyrical NANOHA− 復元する者 −
第5話 NIGHT-WALK
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らずか。

少年は自分の手を引いて正面を見たまま、歩き続ける。
私も抵抗を止め、手を引かれるまま歩く。
月の光が降り注ぐ公園の中を、出口に向かって歩いて行く。



ーーこれが二度目。

ーー彼と……高町 葛葉と。

ーー私、フェイト・テスタロッサが。

ーー戦場以外で言葉を交わした出来事。

ーー初めて、彼に手を引かれて歩いた。



ーーーー夜の散歩の幕開けだったーーーー。










第5話[NIGHT-WALK]










誰も歩いていない歩道。
街灯の僅かな光が闇夜に包まれた道を微かに照らす。
草木も眠る丑三つ時。
周囲の闇に同化する黒髪の少年……高町 葛葉と。
闇の中においても映える綺麗な金髪に紅い瞳の少女……フェイト・テスタロッサは。
互いにの手を繋いだまま、歩いていた。


「遠いな〜…」

「……ゴメンね」

「謝るなよ。僕が勝手に送ると言い出したんだから自己責任さ」

「うん……」


葛葉の自嘲しながら話すと、フェイトが小さく頷いた。
俯いている為、表情から感情が読み取れない。
今、二人は海鳴市の隣の街まで歩いて来ていた。
公園から出て、住んでいる場所を聞くと隣街のマンションだと返ってきた時は焦った。
時刻は既に深夜。
終電もなく、電車もバスも走っていない。
タクシーで向かおうにも手持ちがなく、やむを得ず徒歩による前進となった。
流石に子供の歩幅では、隣街まで入るのに時間が掛かった。
子供二人で夜中の街中を歩くのは補導される危険が高く、内心はドキドキものだ。

何はともあれ……
二人共に、時間は掛かったがどうにか隣街に入れた。
道なり歩き、目的地を目指す。


「道は……こっちで良いのか?」

「うん……このまま、真っ直ぐに行けば拠点にしてるマンションがある」


場所までの道を聞くと、フェイトが頷きながら答えを返す。
彼女のナビゲートに従い、マンションへの道を進んでいく。
此処までの道のり、二人は余り会話という会話をしていない。
必要最小限の言葉を交わすのみ。
それ以外は終始無言を貫いている。

互いにに聞きたい事、知りたい事は数多ある。
然れど、場の空気と言おうか……どちらも話を切り出さない。
気まずい雰囲気が二人の間に流れていた。
葛葉としては、話してくれないだろうなという諦感。
フェイトは未だに、何故彼に送ってもらっているのか半ば頭が混乱していた。

二人共、どうしたものかと心の中で思案する。
沈黙するのも限界が来たのか。
先に口を開いたのはフェイト。


「あの……」

「ん?」

「あ、うん……何でもない」

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