そろそろ戦闘に入りたいな
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は無かった。そんな彼女が泣いている。感情のままに叫んでいる。それは、彼女がどれだけ本気で彼のことを心配しているかの証明でもあった。
「でも、その間に何人が犠牲になるんだ?」
護堂も、エリカが自分のことを心配して言ってくれていることは理解している。・・・だが、彼には彼の、引けない理由があった。
「それに、そのカンピオーネたちが現れるまでの間、エリカ、お前はどうするつもりなんだ?」
「え・・・?」
予想もしなかった質問。その質問に、エリカの思考は停止した。
「お前、時間稼ぎするつもりだろう。」
「っ!?」
バレている。
エリカは、例え相手がまつろわぬ神であろうとも、決して逃げ出さないと決めていた。いくら【剣の王】の命令でも、その理不尽な命令に負けて、【伊織魔殺商会】に連絡を入れなかったのは間違いなく自分たちだから。早期に解決出来る手段があるのに、それを選択しなかった自分たちに対して、彼女は深い怒りと絶望を覚えていた。
今も、店の外では寝静まった街が見える。
今は深夜だから、寝ている人間が多くて大事に至っていないだけだ。これが朝になって人が起き出す時間になってしまえば、被害は格段に広がってしまうだろう。そうなってしまえば、もうこの街はお仕舞いだ。何の罪もない女子供、昨日までは笑っていた筈の気のいいオジサンたちも、血の海に染まってしまうだろう。
『力あるものは、その力において責任を持たなければならない』。
彼女は、誇り高い人間だ。それを守れないことが、どれだけ彼女の心を傷つけてしまっただろうか?
「ほんの少ししか話していないけど、お前のことは何となく分かったつもりだ。お前は、この状況を放っておける人間じゃない。・・・そんなお前を置いて、男の俺に逃げ出せだと?冗談じゃないぞ。俺は、そんなに薄情者に見えるかよ?」
護堂は、本気で怒っていた。
「それにさ、コイツが言っているんだよ。」
苦笑して、石版を指差す。
「まつろわぬナイアーラトテップは、あの子だって。望んでこんなことしている訳じゃないんだって。・・・助けて上げて欲しいんだって。」
『神器の声を聞いた・・・!?そこまで相性が良いのか。』
隣では、黒猫が驚いていたが、護堂は無視した。
「あの子も、きっと悲しんでいる。・・・友達が悲しんでいるのなら、助けるのは当然だろうが?」
そう言って、彼は苦笑しながら頭を掻いたのだった。
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