キャリバー編
百二十三話 年末の大イベント
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「おー、上手く行くモンだな」
「な……な……!?」
その先端を、涼人が持っていた。直葉の視線に気がついたらしい彼は、カラカラと笑いながら言った。
「いやあ、今日辺り来るかと思ってよ。お前が投げる高さを今までのから予想して、倉庫に余ってた凧糸でトラップを作って見たわけだ。上手いこと行くもんだ」
「…………(スッ)」
「ま、待て待てスグさん。ちょいと弁解させてくれ」
無言で竹刀を構えた直葉に焦ったように涼人は手をかざして言った。
目を細めて涼人を睨んでいた直葉は、若干訝しげな顔をする。
「何ですか、オニイサマ」
「大丈夫だ。今回は直接触れてねぇからノーカン「ツキィィィィィ!!」ちょ待!?突きは死ぬ、ブホァア!?」
桐ヶ谷家の庭先から、驚いたように小鳥が数羽、飛び立った。
――――
さて、その後涼人はコッテリとお叱りを受け、例によって彼女の好きな物を一つ作る羽目になったのだが……
「ったくアイツは何でこう面倒な料理を知ってんのかね……!?」
如何にも不服そうに、涼人はキッチンで言った。
直葉から要求されたソレを、涼人は実を言うと以前自分の為に作った事が有ったのだが、正直面倒な料理なのであまり作りたく無かったのだ。が、今逆らうと後が怖い。
幸い材料は有ったので、涼人は渋々作業に移る。
先ず、湯煎で卵黄と白ワインを泡立て器で混ぜる。味付けとばかりにコショウとレモン汁を入れて、さらに混ぜ、ある程度混ざったらば其処に焦がしバターを少しずつ混ぜながら投入する。因みにこの時両者が分離してはならない。そうならないように乳化させつつゆっくりとバターを入れていき、完全に混ざったらソースの完成だ。
因みにこのソースにも名前が有るのだが、正直どうでも良いので涼人は覚えていない。
と、此処でドタバタと音を立ててこの桐ヶ谷兄妹の母、翠が居間に飛び込んで来る。
「わー!ヤバいヤバい!あ、おはよう涼人君!」
彼女は今日も年内の校了が数件残っているらしく、まあ端的に言うと年末最後に死ぬほど忙しい。
「おはようございます叔母さん。あー、トーストが後……(チーン♪)出来ました。コーヒーは?」
「うー、要らない!「んじゃ水筒に入ってますんで、こぼさないで下さいよ?」ごめんありがと!ほんっと助かるわー」
話しながら涼人は取り出した焼きたてのトーストに手早くマーガリンとジャムを塗ってコーヒー入りの水筒と一緒に彼女に渡す。完全に慣れている者の動きだ。
「ありがとっ!あ、今日も遅くなると思うけど、悪いんだけどお願いね。行って来まーす!」
「へい。行ってらっしゃい」
トースト片手に飛び出す翠の向かう先にある扉が開き、翠が足踏み。
「和人おはよう!行って来
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