崩落〜
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アクゼリュスへ向かうため、カイツールから北東の位置にある・・・デオ峠を進む。
「ちぇっ。師匠には追い付けなさそうだな。砂漠で寄り道なんてしなけりゃよかった」
「寄り道ってどういう意味・・・!・・・ですか」
アニスがギリギリ踏みとどまる。
「寄り道は寄り道だろ。今はイオンがいなくても俺がいれば戦争は起きねーんだし」
「あんた・・・バカ・・・?」
遂にアニスが言ってしまった。
「バ、バカだと・・・!」
「ルーク。私も今のは思い上がった発言だと思うわ」
「この平和は、お父様とマルクトの皇帝が、導師に敬意を払っているから成り立っていますのよ。イオンがいなくなれば、調停役が存在しなくなりますわ」
「いえ、両国とも僕に敬意を払っている訳じゃない。“ユリアの残した預言”が欲しいだけです。本当は僕なんて必要ないんですよ」
よくもまぁ、ああ言われてこう返せるよな。そう思っていたらガイが言った。
「そんな考え方には賛成できないな。イオンには抑止力があるんだ。それがユリアの預言のおかげでもね」
「なるほどなるほど。皆さん若いですね。じゃ、そろそろ行きましょう」
「・・・この空気でよくあんな台詞がでるよな・・・愛依、行くぞ」
「は、はい」
「(だけどルーク。今のはかなりマズイ発言だな)」
そう思いながらどんどん峠を進んでいくが・・・
「はぁ・・・はぁ、はぁ」
「イオン様!」
イオンが息を乱していた。ティアがイオン様に近づく。
「大丈夫ですか?少し休みましょうか?」
「いえ・・・僕は大丈夫です」
「そんな真っ青な顔で大丈夫って言われてもな・・・みんな、休憩しよう!」
俺が言うが・・・
「休むぅ?何言ってんだよ!師匠が先に行ってんだぞ!」
「ルーク!よろしいではありませんか!」
「そうだぜ。キツイ山道だし、仕方ないだろう?」
「親善大使は俺なんだぞ!俺が行くって言えば行くんだよ!」
「あ・・・アンタねぇ!」
アニスがキレる前に・・・俺はルークの胸ぐらを掴んでいた。
「さっきから師匠師匠うっせーんだよ。お前はなんだ?アクゼリュスにヴァンと遠足でも行くのか?違うだろ。今のお前はアクゼリュスの人を救うより、ヴァンに追い付くのが前提条件になっている。・・・自分のことしか考えねーで親善大使なんて口にするんじゃねえよ」
「さ、咲さん!やめてください!」
「・・・チッ」
愛依に止められて渋々手を離す。
「では、少し休みましょう。イオン様、よろしいですね?」
「な・・・お、おい・・・」
「ルーク、すみません。僕のせいで・・・」
「・・・ちぇっ。わかったよ。少しだけだぞ」
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