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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
黒守黎慈とフェンサー(2) ─共に戦う者として─
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 自らの甘さが招いた最悪の結果。
 取り返しのつかない、誰に謝ることも償うことも出来ない失態だ。

 ここで俺に出来ることは一刻も早くライダーを殺し、慎二を殺し、この結界を消滅させることだけ。



 ならば────



 甘さなんて要らない。感情なんて要らない。
 魔術師として余分なものは全て捨ててしまえ。

 そもそも俺はそう在ることが当然と言える存在だった筈だ。

 血に染まった赤夜。曾祖父をこの手に掛け(・・・・・・・・・・)黒守として完成した(・・・・・・・・・)あの日に戻るんだ。

「────────天上(あまのかみ)天下(あまのもと)唯我独尊(ただわれひとりのみたっとし)

 世界を自らの裡だけで完結させる。
 万物天地に在りて貴ぶべきは己のみであるという、強烈なまでの自我精神。

 外部の影響を受けず、魔術回路として最大効率を。
 低位の干渉魔術ならばその強大な精神によって生まれる抗魔力だけで弾き返すほどに。

「世界を象る五大元素を基に────無極より太極に至り、両儀を生じて四象と為す。
 この身はその為に容造(かたちづく)られた魔術回路、黒守としての最高個体」

 己の役割を明確に。
 余計な雑念、思考を完全に消去し、黒守の魔術師として相応しい自分へと変革する。

 魔術刻印が自動的に起動した。
 主の覚醒めに歓喜するように、全開稼働で魔力と術式を奔らせる。

 身体強化、各部硬化。
 防刃防弾、耐地・耐水・耐火・耐風・耐空。
 反縛、隔光、影封じ、不干渉、耐圧障壁、精神防壁。

 強大な魔力と強靭な術式で編まれた、攻防一体の強固な魔術。

 上着を脱いで腰に巻き付ける。
 共振によって増幅された魔力が魔術回路を巡り、魔術刻印を奔ると同時に生じた魔力火によってシャツの袖が燃え落ちる。

 完全な戦闘体勢。
 今すぐにでも殺し合えると言わんばかりの戦気と魔力に身を包み、教室から校庭へと繋がる窓へと手を掛けた。

 校舎三階から窓を開けて飛び降り、魔術行使なしに運動能力だけでその高さからの着地を成功させる。

 グラウンドの中央付近で待ち構えているライダーと慎二を睨み付けながら、己がサーヴァントであるフェンサーを呼んだ。

「来い、フェンサー」

 その言葉と同時に、屋上から舞い降りる白銀の少女。

 傍へと控えながら、彼女は主に問い掛ける。

「マスター、どうするの?」
「どうもこうもない。敵はハッキリしてるだろう」
「けれど、中にはキャスターとその操り人形(ゴーレム)も居るみたいよ。そっちへの対処はどうするの?」
「中は士郎と凛に預けておけ。俺とおまえの優先目標は目の前だ」

 振り返
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