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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
黒守黎慈とフェンサー(2) ─共に戦う者として─
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いからわ・た・し・の、ミルクティーを買ってきたまえよ、負け犬ちゃん」
「こっの……お、覚えてなさいよ…………!」
「ふむ、そうだな……全力で走れば5分足らずで帰ってこれるだろ」
「黎慈……パシらせる上にダッシュまでやらせるのか…………?」
「甘い、甘すぎるよ士郎くん。敗北者には発言権どころか拒否権も人権もありはしないのだ、ハッハッハ」
悔しさを隠そうともせず、凛は注文の品を仕入れに購買へと走っていった。
後に俺には『学園のアイドル・遠坂凛をパシらせた男』という称号が送呈されるのだが、それはまた別の話──────
五時限目の授業中。先程の昼休みは、昨夜の情報交換をした。
一応、現状の情報を整理していく。
俺の方では何も発見はなかったし、士郎とセイバー、アーチャーが交戦したことやその結果については既に知っていた。
新しい情報としては、信じられない話だが柳桐寺の山門で相対したアサシンは、キャスターが召喚したサーヴァントだということ。
こちらのようにマスター同士が手を組んでいるのではなく、キャスターがルールのグレーゾーンを突いたものだ。
サーヴァントは魔術師が召喚するもの。召喚可能で監督役の教会が黙認している以上、明確なルール違反というわけではないのだろう。
朝から机に突っ伏していた体勢を午後にも続けて行いながら、頭の中でまとめていく。
ぶっちゃけじゃんけんだのパシリだの、イジると面白おかしいあの二人との昼食会などで体力を使いすぎた。
しばらくはそうして授業を過ごしていたのだが、その作業は突然中断される。
教室内がざわめきだし、何事かと体を起こす。
皆がグラウンドに目を向けていたのに倣い、俺も視線をそちらに向ける。
そこには校門から一人の女を引き連れて現れた、間桐慎二の姿があった。
(なっ、ライダー!? 生きていたのか!?)
人目につく場所で、人目を気にせずにサーヴァントを率いて現れた慎二。
想像もしなかったその現実に驚愕しつつも、現状から考えられる可能性に身を震わせる
そんな俺の考えを肯定するかのように、学園を覆う結界が発動された。
鮮血色の大結界。
魔力吸収を越えた魂喰らいの禁呪。
倒れ伏し、苦しそうに呼吸を繰り返すクラスメイト。
その肌は僅かずつにだが溶け出している。生きた人間をそのまま養分に変えるこの結界の効力だろう。
昼休みには普通の日常を送っていた彼らが、一体何故こんな目に遭っているのか?
(考えるまでもない。あのとき、俺がライダーの死を確認しなかったから……慎二を生かしてしまったからだ…………!)
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