暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
黒狼の背にて
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と動かし、どこか自慢げににやりと笑った。
「だいじょーぶだいじょーぶ。だって────」
全員が背に乗ったのを確認したのか、漆黒の巨狼はぐぐっと足に力を入れ、背中に跨るリーファ達も大きく揺れた。
そして─────
───────────────ッッッッッ!!!!!
鼓膜が消し飛ぶような轟音とともに、リーファ達の身体が完璧に横向きになった。
直前に、半ば本能的にクーの体毛をしっかり掴んでいなかったら、今頃遥か彼方へと吹き飛ばされていたことだろう。それほどの加速力。
周囲のテクスチャは完全に溶け崩れ、放射状となって後ろへと流されていく。地面を見れば、ただの茶色い絵の具を塗りたくった絵画のようになっていて、非日常感半端ない。
舌を噛まないように気を付けながら、リーファはひゃっほーい!と完全にハイテンションになっているレンに、吹き荒ぶ風の音に負けないようにしながら懸命に叫んだ。
「れ、れれれレン君!!ここ、これホントに、だいじょぶ!!?」
「えー、何がー?」
こんな局面でものんびりとした口調を崩さない彼に、リーファは腹立ち紛れに叫ぶ。
「じ、時間的な意味で!!!」
「あー、大丈夫だよ。リーファねーちゃん、マップって出せる?」
突然の問いに、リーファは思わず前傾姿勢になっていた体を起こし、左手を振る。現実世界で、この速度の中でそんなことをすればまず間違いなく空気抵抗とかそこら辺の問題があっただろうが、この世界ではそんなことはもちろんない。
表示されたメニューウインドウから、マップのボタンを押す。
出てきた簡易マップは、おそらくリーファがこれまで見たどのマップよりも高速で動いていた。
ALOでのメニューから呼び出せる簡易マップは、基本的に自分が現在いる座標より約二、三百メートルほどを表示する。
しかし、今それは目まぐるしくスクロールされていた。当然のことながら、リーファは欠片も手を触れていない。
ほえー、と声も出せずに驚いていると、突然視界が開けた。
顔を上げると、先程まで目と鼻の先にあった洞窟の地面は跡形もなく消え去り、五百メートルほど下に広大な草原が広がっていた。
へっ?と振り向くと、フリフリ揺れるクーの尻尾の遥か彼方に、みるみる遠ざかっていく洞窟の出口が見えた。
どうやらクーは、走る勢いを緩めず、山脈の中腹に開いた出口からカタパルトよろしく飛び出したらしい。
「え?ちょっと待ってレン君!」
「なーにー?」
「クーって飛べたの?」
この上なく真剣な声で放たれたリーファの言葉を聞いた途端、視界の隅でキリトがさっと顔を青くするのが見えた。
そして、リーファのその問いに対する答えは、あまりにも短かった。
「い
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