暁 〜小説投稿サイト〜
銀色の魔法少女
第九話 それぞれの一日
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体験することで自分のものにする訓練のこと。

 最初はクリムが用意した敵を倒すだけだったけれど、何回も繰り返すうちに途中で飽きてきて、私が思いつきで提案した漫画を追体験する方法を始めた。

 でも、流石に腕が伸びたり、嵐を切り裂いたりはできない。

 剣術、柔術なのどの体術が主だ。

 あと、目が異常に良いなどの特殊な特徴が必要なのもなし。

 けれど、それ以外なら、一般人ならできるようなものならば、完全に体験できる。

 ……まあ、自然に出せるようには何十回も練習する必要があるけど。



side レイ

 現在確認済みの転生者二名。

 赤いやつと黒いやつ。

 赤いやつは簡単そうだけど、黒いやつを探すのが難しい。

 赤いやつの反応に邪魔されて、黒いやつの反応が探りにくい。

 出会った時に感じたが、アイツの魔力はS以下、トリプルAあるかどうかも怪しい。

 けれど、それでもフェイトと互角に戦った。

 単純な魔力ならフェイトの勝ちだろうに、技術でカバーしている。

 これは厄介なタイプだ。

 普通なら魔力の強化に特典を使って、あと二つをチート技能にするところだけど、それがない分、最悪あいつは三つのチート技能を持っていることになる。

 それに、俺は『ダブルSS魔力資質』と『フェイトの兄として生まれる』で二つ使い切っている。

 つまり、技能二つ分俺の不利ってことになる。

 まあ、それがどんな技能であろうとも『アレ』がある限り魔法で俺に負けはない。

 そんなことよりも問題なのは、フェイトよりも技術が上ってことだ。

 フェイトはリニスにみっちり教え込まれた戦闘技術、それを上回る強さとなると、一つしか思いつかない。

 『小太刀二刀御神流』、これを会得していたら正直かなりキツイ。

 でも、幸いなのは相手もまだ子供。

 発達途中の体で奥義を無理に使用すると、必ず後遺症を残す。

 そんな無茶は、流石にやらないだろう。

 けど、対策はしとかなくちゃな。



side フェイト

 『次までに自分を見つめ直すが良い』

 彼に言われたことがずっと頭を離れない。

「私に何か足りない物があるの…………」

 考えても考えても何のことだかさっぱり分からない。

 私は母さんのためにジュエルシードを集めてる。

 それを邪魔するのなら、誰だって倒す。

 たとえ彼だって、レイの協力があればきっと勝てるはず。

「……これじゃいけない」

 私は考え直す。

 さっきの考えでは私では勝てないと言っているようなものだ。

 それじゃあ、ジュエルシードは集められない。

 母さんの願いは叶わない
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