第二の始まり〜
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『・・・はい。誕生日おめでとう、姉貴!』
『ふふ・・・覚えていてくれたのか』
『まあね。大切な家族の事だし・・・』
『・・・だが、私はろくにお前を祝ってやれなくて・・・』
『気にしないでよ。・・・っと、そろそろ時間だ』
『・・・今日がお前の初陣だな。・・・絶対に帰ってこい』
『わかってるよ。帰ってきたら姉貴のお祝いだ』
『・・・そうだ。これを持っていけ』
『これ・・・ペンダント?』
『お守り代わりだ。・・・行ってこい』
『・・・行ってきます。■■■』
最後に、名前を呼んだような・・・名前は・・・
「う・・・」
目を開く。そこは日本の自分の部屋でも、見慣れた洛陽の部屋でも無い。
「・・・」
ベッドから起き上がり、窓を開ける。
「預言通りの晴天か・・・」
預言。それはこの世界の秩序を作っているモノだ。預言には文字通り、一人一人の人間の運命が記されている。・・・重度な人間は一日の食事や行動すら預言に頼っている。
「下らない・・・」
俺、五十嵐咲は今はこの・・・“テイルズオブジアビス”の世界にいる。・・・この世界については・・・説明が面倒だ。預言もそうだが、RPGの定番であるマナは、音素と呼ばれていて、一から七まである。それについての説明は追々するとして・・・
「まずは着替えるか・・・」
服を着替えようとして、軽くコンプレックスになっていた長い髪が目に入る。・・・ただし、髪の色は黒ではなく金だ。何故かは知らない。それに、俺は咲の記憶はあるが、サキの記憶・・・つまりこの世界に存在する俺の・・・十四までの記憶はなくなっている。
「・・・」
服を脱ぎ、鏡を見ると背中に一筋の傷。黒ずんだ片腕。紅くなっている髪の一部と片方の瞳。
「よっ・・・」
服を着て、髪を一本に纏める。・・・俺が咲の記憶を取り戻したのは、一年前・・・部屋の中でいきなり、撫子が現れ・・・俺に話しかけた瞬間だ。
「マジでビビったんだからな・・・」
俺は愚痴りながら、部屋を出る。
「よう、サキ」
「ガイか。相変わらず朝早いのな」
話しかけてきた男は、ガイ・セシル。・・・俺を拾ってくれた恩人でもある。
「それにしても、もうサキも成人したんだよな」
「まあな。・・・まあ、正しいのかは知らねえけど」
「ま、記憶なんて何時でも戻るさ。それじゃ、俺は仕事に行くぜ」
「俺もすぐ行くよ」
・・・肝心な事を話していなかった。俺がいる場所は、キムラスカ王国と呼ばれる国の、ファブレ家と呼ばれる公爵家の奉公人をガイと共にやっている。この世界はキムラスカ王国とマルクト帝国があ
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