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無明のささやき
第十八章
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から離されたようだ。章子の「愛子は本当に貴方の子供なのよ。あんた、正気に戻って。私を信じて。」と佐久間に叫ぶ声が洩れ聞こえてくる。その声が突然途切れ、佐久間が出た。
「おい、お前の大事な恋人を俺が預かっている。今夜、会おうか?」
「ああ、会おう。何処に行けばいいんだ。」
「場所と時間は、深夜0時に電話で指定する。携帯の電源を入れておけ。いいか、警察に知らせれば、元夫婦が無理心中するだけのことだ。」
飯島は声を殺して言った。
「佐久間さん、傍に誰かいるか。」
「いや、俺だけだ。」
「いいか、よく聞けよ。佐久間さん。俺が愛子ちゃんの父親でないという証拠を持っている。それを見ればあんたも納得いくだろう。」
佐久間は沈黙した。飯島は反応を待った。佐久間が答えた。
「そいつも持って来い。」
突然電話は切られ、ツーツーという音だけが耳に残った。

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