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自殺が罪になった日
自殺が罪になった日
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拳よりも笹川の方がさ く らには効く 。笹川効果は計り知れない。
「あっ。もう 八時五〇分じゃん。綾野剛のド ラマ始まっちゃうじゃん。さ く 。遅いからもう いいよ」
「なんで? せっかく 勉強してんのに」
「いいから」
こんな感じで勉強はちゃんとやってること になってる。
                                
 十二月三一日。
「三、二、一あけましておめでとう」
 二〇二一年一月一日。
「おなえさん。あけましておめでとう。今週だけよろしくおねがいします」
「何だよそれ」
「だって。今週だけじゃん」
「そっか」
「そっかって。そんなさびしいこといわないでよ」
さ く らの目が涙で潤んでいた。
「なに? 泣いてんの? さく らしく ない」
「うしー」

そして。
 別れの前日の夜。この日も二人並んで同じベットに入ってた。
「あしたで一時おわかれだね」
「一時ってなに?」
「だって。わたしも総合ならうから」
「えっ。ほんと に行く の? あいつがアメリカから帰ってきてるかもしれないから私はいかないわ」
「じゃあ。さ く ら もいかない。じゃあさ。おなえさんのうちでお勉強する」
「ほんとか?」
「ほんと。わたし。教師になる。そして、北原先生と働くんだ」
「やっと。変な名前から開放された」
「なんで。そっちにく いつく の?」
「わたし。真剣なのに」
「わかってるよ。そのぐらい顔見れば」
二人はお互いを見つめ合った。
「人生で真剣になるの始めて。今までなにしてたんだろ」
「遅くないよ。今から頑張れば大丈夫だよ」
「うん。頑張る。そうだ。自殺の理由いわなきゃね」
「言わなく てもいい。辛く なるだけだから」 
 さ く らは自分の頭を彼女の胸に押し付けた。
 しばらく し て、彼女はさ く らの寝息を聞く と、目を閉じた。

 そして、刑期最終日。
 昼食を終え、彼女は荷物をまと めていた。
「おなえさん。そのカレンダーもっていくんだ」
 前野がいなくなったあと。彼女はそこからはめく ったカレンダーを持ち帰るために一まとめにしていしていた。
「う ん」
「じゃあ。今日のも持っていけば」
「そうだね」
 さ く らは彼女に気を使い、この日のカレンダーをめく りにそこに歩み寄った。
 この日言葉は。
〈「人生に絶望したので死にます」って「腹減ったから、コンビニで弁当買ってきます」みたいな感覚で自殺するんですね。 そう いう人たちに聞きます。あなたがしているものが絶望ではないとしたら死なないのですか?  「はい」と言う人がひと り でもいるのなら。俺は言います。それは絶望ではありません〉
「今日もすごいやつだね。はい」
 さく らはめくった
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