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自殺が罪になった日
自殺が罪になった日
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小林はここの支所長レベルの刑務官には簡単に口が出せる力がある。
「彼の気持を裏切るのは辛いけど。私は自分の義を貫きます」
「ほう。まるでジャンヌダルクですな。では、あなたのお仲間を処分しましょうか」
「仲間なんていません」
「笹川さん」
「はい」
「あな高山さんに随分酷いいじめをしましたね。私が知ってる分だけでもストリップにベルト コンベア。浴室での自慰行為の強要。同じく浴室で高山さんに対して集団で尿をかける。これだけでも、高山さんの生命放棄に繋がる行為としてみなされ、笹川さんと それに加わった人たちは今の法律だと一発でほんまもんの刑務所行きですね。生命放棄に関わると怖いですな。笹川さん。しかし、せっかく あなたもいじめと決別したのだから、チャンスをあげましょう。でも そのチャンスはジャンヌダルク さんが私共の会社を訴えないという 条件で。まあ。北原さんがもし訴えたとたとしてもどもには全く 非がありませんから問題ないですけど。さあ義は貫けるかな?」       
 SK劇場は終わったが小林義之のワンマンショーは終わりをみせないでいる。
いじめ行為を暴露された笹川だが、逆にいえば自分のところの刑務官がこれらの行為を黙認していたという事。それにレイプした警備員の事もまだ終わったわけではない。小林は自分の部下の事を棚に上げるにも程がある。
「まい。いいわよ。私のした事だから。大島。佐々木。村井。ごめんね。でも、起訴されて刑務所に入るの私だけだから。それは心配しないで」
 笹川も義を見せる。
「そんな」
 大島らは責任を一人で取る覚悟の笹川を心配する。
「小林さん。私は貫く ほどの義はありませんでした。そういうことにしてください」
「そう ですね。まあこれで一件落着ですな。おい。清水。書類持って来い」 
「まい。ほんと にごめん」
小林は訴えを起こす可能性の多い彼女をやっと攻略した。
「はい」
 その書類が受刑者全員に配られた。
 その書類は主に。
〈高山聡美はアスペルガー症候群を苦にし自殺したと私は思います〉と書かれていた。
「はい。みなさん。読まなく ていいんでサインと 拇印押してく ださいね。おい清水。ぼさっとしないで。書いた人から集めて来い」
「はい」
 清水はぼさっとしていたわけではない。自分の会社を守るためになぜここまでしないといけないんだと自分と葛藤していたから そう 見えただけだ。
 清水はあと何回の会社が行う 理不尽行為で自尊心を失く すのだろうか? それとも自尊心のために会社の利益を犠牲にするのだろうか?
「はーい。ありがと う ございました」
「では。これで失礼いたします」
「失礼します」
 会社に魂を売った男と魂を取り出しているがそれをまだ渡してない男が帰っていった。
 このあと、
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