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自殺が罪になった日
自殺が罪になった日
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。どうぞ」
「私、証拠と高山さんの遺書もってるんです」
「証拠というのは高山さんのデジカメの動画の事ですか?」
「何で知ってるんですか?」
「先ほど。高山さんのお部屋の遺品整理をしたときに発見しました」
「粗捜しをしたんですか?」
「違いますよ。人聞きの悪い事言わないで下さい。遺品整理って言ってるじゃないですか。それでですね。作業中に清水がカメラを高いところから落としてカメラもメモリも使い物にならなくしてしまったのです。それから、遺書の方はわからないですけど、清水がその部屋でたばこを吸って灰皿がなかったのでその辺にあった封筒を灰皿代わりにしたらその封筒が燃えちゃたんだよな? 清水」
「あぁ。はい。中には紙のようなものが入ってましたが燃えてしまったので何の紙かはわかりません」
 もちろん施設内は禁煙だ。
 小林はいとも簡単にうそをつく が、対照的に清水の方は罪悪感があるのだろう強張った表情でうそをついていた。
「ひどい」
 水野は落胆した。
「ねえ。私のレコーダーも壊したの?」
 前野が小林を疑った。
「それは知りませんね。でも水本が前野さんたちの部屋を気を利かせて先程、お掃除したとき、何かを誤って壊したと言ってましたね」
「なんだよそれ」
 前野は意気消沈した。
「そうだ。さっきは遺書はないといいましたが、そういえばあったんだろ? 清水?」
「はい。ボストンバックの中に入ってました」
「なんて書いてあったんだ?」
「もう人生に疲れた。私はアスペルガー症候群に悩まされるのはもう嫌です。死にます。と書いていました」     
 高山がアスペルガー症候群だったのは本当だ。
「そうか。かわいそうだな」
 清水の不自然な演技を除くとSK劇場は見事なものだった。
 これの台本は会社マニュアルにのっとってのものなのか。小林が考えたものなのかはわからないがすばらしい台本だった。
「あんたら生命放棄文書及び遺品毀棄、偽造で訴えてやる」
 生命放棄文書及び遺品毀棄、偽造罪は。
〈自殺者の文書及び遺品にはの最後のメッセージがこめられている。それを毀棄、偽造することは遺族その死亡者と親交があったものに対して大変許しがたい思いをさせる事になる行為であるので、この行為をしたものにたいしては毀棄、偽造に関する罪より、更に重いものとし、六年以下の懲役に処する〉
「北原さん。あなたは評判どおり頭の切れる方だ。しかし、そんなには人生上手く 行きませんよ。あなた。うちの刑務官に歯向かったりしてるらしいじゃないですか。所長は素行不良で刑期を延ばす方向で話を進めているらしいですよ。ここで大人しく すれば私が口添えしてそれを阻止しますよ。その方がいいと思いますよ。肩を持ってく れた恋人のためにも」
 通常、警備会社支店長に口添えなどできないが、
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