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自殺が罪になった日
自殺が罪になった日
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事して。仕事忘れたら駄目だろ。はい書いたよ。今日は水本休みだから滝井ね」
 彼女はその紙のサイン欄に〈滝井〉と書き渡した。
「あと。これ。俺の携帯とアドレス」
 彼は自分の携帯番号とアドレスを書き加えておいた名刺を彼女に渡した。
「ありがと。出たら。連絡するわ」
「おう」
「じゃあね」
「したらね」
 彼は車に乗りんでからも彼女の方に目を配った。
 車が動き出した。
 彼女はいつものようにその車の後を追って歩き出した。
 車は公道へと出てしまった。
 そして、彼女の恋愛はお預けになってしまった。
この後、刑務所に帰ると、滝井と鉢合わせした。
彼女は滝井にその臭いがついたを帽子を投げ捨て。
「死ね」
 と言ってやりたかったが彼の気遣いが無駄になってしまうので水本と共謀して支所長にちく ったであろう滝井を鋭い眼光で睨む事しかできなかった。
そして、風呂に入り、食事をした後に九人の仲間たちの前で涙ながらに恋に水
をさされた事を語った。

それから二日後。
朝の搾乳に向かった彼女。
「いやー」
 厩舎の前にいる笹川たちが厩舎の雪が積もった屋根の方に目線を向けて絶叫する。
「……」
 その声に反応した彼女もそこに目を向けた。しかし声が出てこない。
 その視線の先には厩舎裏に建てられている携帯電話の電波塔があり、その塔の上部から一本の紐がのびていている。その先には高山がだらんとぶら下がっていた。
「なにしてんのよ」
 彼女が呆然と立ち尽くす笹川たちを一喝した。
「私。警備員呼んでくるからあんたたちもなんかしなさい」
彼女は無理な注文を吐き捨て警備員のいる刑務官室に向かった。
 そして、そこに着きその扉をガラッと開けると。
 そこには誰もいなかった。
 彼女はその部屋の奥の壁に設置されているホワイトボードが目に付き、そのボードのもとに歩み寄った。
 そのボードをじっくりとみると。そのボードの右隅の上には〈緊急連絡先〉と書かれた用紙が貼っていた。
彼女はその用紙に目を通し、支所長の長内の携帯番号をみつけた途端にその用紙をマグネットから 外し、それを手に取り一番近くの電話がおいてる机まで歩み寄った。
 そして、彼女はその電話からその用紙を見ながら長内に電話を掛けた。
「もし、もし。北原です」
「どうしたの? なぜあなたがそこの電話からかけてるの?」
「所長。落ち着いてください。これはいたずらなんかではありません。緊急事態なんです。まず、警備員さんがいません。それと高山さんが厩舎裏の電波塔に首を吊って自殺しました」
 彼女は興奮状態にあったが、長内にしっかりと情報を伝えるために一つ、一つ丁寧に伝えた。
「えっ。……わかった。すぐ、駆けつける。それと消防に電話しなさい。いいですか? 警
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