第二話
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すか?」
映姫がそう言うと、俊司は一瞬表情を濁した。返答に困ったのだろう。
映姫にとっては期待外れだったのか、一度溜息をついていた。なにか明確な答えを希望していたのだろう。映姫は仕方なしに話を戻そうとする。
だが、それよりも先に彼が口を開いていた。
「……答えなんているんですかね?」
「えっ?」
「俺にはそう思えるような理由はありません。ですが、そう考えることに意味はいらないと思うんです」
「……」
「……間違ってますか?」
彼の反論は映姫にとっては予想外だった。彼の考えは、決して間違っているわけではない。だが、本当に素で思っていること自体が予想外だった。
だが、それこそが彼女の求めている結果でもあった。
「……ぷっ……ふふっ……あははっ」
あれだけの神々しさを放っていた映姫は、急に笑い始めていた。
あまりの出来事に俊司はおろか、そばに立っていた死神ですら目を丸くして驚いていた。映姫は数秒間静かに笑った後、少し表情を和らげて俊司を見ていた。
「やはり、八雲紫があなたを選んだんのは正解だったのかもしれませんね」
「えっ?」
「話を戻します」
急に表情を戻した映姫は、再び神々しさを出し裁判を再開した。
「罪状をすべて確認しました。ただいまより死人『里中俊司』の判決を、閻魔『四季映姫・ヤマザナドゥ』より下します」
「……」
場内は一気に緊張感であふれかえった。
だが、俊司は何も恐れていなかった。『天界・冥界・地獄』いずれかの世界に魂を送られるだけ。判決を聞いたところで、たどる未来はそう違いはない。まっすぐとした目のまま、判決を言い渡されるのを待っていた。
そんな少年をみた映姫は、一呼吸間を開けるとゆっくりと口を開いた。
「すべての罪状と功績を元とした結果、死人『里中俊司』を冥界送りとします」
「……」
冥界送り。幽々子が管理を行っている世界に送られることが決定した。
俊司は顔には出していなかったが、内心はホッとしていた。誰だって地獄行きにはなりたくない。
「冥界で……来世を待てってことですね」
思わずそう口走っていた。
だが、それを聞いた閻魔はとんでもないことを言いだしていた。
「いいえ。誰もそのようなことは言っていませんが?」
「……えっ?」
またしても、場内を緊張感があふれかえった。
冥界送りなら、来世を待つのが正しい内容。だが、それを下したはずの映姫はそうではないと言い張っているのだ。
「何をおっしゃってるんですか!? 映姫様!」
さっきまでなにもしゃべっていなかった死神も、思わず声を
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