第一章 土くれのフーケ
幕間 破壊の杖
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役は君たちじゃからの。用意をしておきたまえ。せいぜい着飾るのじゃぞ」
三人はオスマン氏に頭を下げるとドアに向かって歩いていく―――が、何故か士郎は動かずにいた。ルイズが付いてこない士郎に気付き後ろを振り返ると、士郎はすまなそうな顔で小さく頭を下げた。
「少し学院長と話があるんでな。先に行ってくれ」
ルイズは不満な顔を浮かべ何かを言おうと口を開いたが、士郎の顔を見て中途半端に開いた口を閉じて頷き、
「―――早く来ないとお仕置きだからねっ!」
悪戯っぼく笑ってみせると、ルイズはまだ不満顔を浮かべているキュルケの背中を押しながら学院長室を退室した。
士郎とオスマン氏だけが残った学院長室で、士郎とオスマン氏は向き合っている。
扉越しに聞こえていたルイズたちの声が遠く消え十秒ほど学院長室に沈黙が過ぎ―――最初に口を開いたのはオスマン氏であった。
「おお、そうじゃそうじゃ。ミスタ・シロウ。ミス・ロングビルはどうしたかね?」
「今は保健室で寝ています」
その言葉を聞くと、オスマン氏はニヤリと笑った。
「君の目から見て“破壊の杖”の力はどのようなものじゃったかな?」
「……驚きました。“破壊の杖”から光が出たかと思えば、森が破壊されていましたから」
「ふ〜む、そうかの」
「ええ」
オスマン氏と士郎がそれぞれ腹にイチモツあるような笑顔で頷き合うと、オスマン氏が仕切り直すかのように咳払いをした。
「むっ、んんっ。ところで、ミス・ロングビルはどうしたものかの?」
「オールド・オスマンはどうするおつもりですか?」
首を傾げながらオスマン氏は少し考えてみせると、士郎に向かってトボけた顔で笑いかけた。
「わしはこのまま秘書を続けてもらえればの〜と思っておるが」
「そうですか」
素っ気ない士郎の言葉に、オスマン氏は苦笑すると頷く。
「わしに出来ることはそれだけしかないからのう……」
どこか悲しげに呟くオスマン氏を横目に、士郎は窓から覗く、日が沈み、星が輝き出す空を見上げた。
「オールド・オスマンは……いつから知っていたんですか」
士郎の言葉に、オスマン氏は士郎と共に、窓から見える星を見上げる。
「何を……とは聞かんがの……。実を言えば気付いたのはつい最近じゃ……彼女の父親とは少しばかり付き合いがあったのじゃが、その頃はまだ赤ん坊じゃったからのう……」
ポツリポツリと呟くオスマン氏は、昔を思い出すように目をつぶった。
「最後に会ったのは、ようやく歩ける程度の子供じゃったからの、何も覚えておらんじゃろう」
口を挟む事なく、士郎はオスマン氏の話しを聞いている。
「わしが彼女の父親が死んだと
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