第一章 土くれのフーケ
幕間 破壊の杖
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「ちょ、ちょっと待ってよタバサ」
「えっ、もう帰るの?」
仲良く一緒にタバサの背中を追いかけるルイズたちの姿を見て苦笑いを浮かべた士郎は、ロングビルを抱き抱えその後を追った。
「ふ〜む、“土くれのフーケ”は死んだと」
士郎たちは風竜に乗って学院に戻ると、すぐに学院長室に赴き事の次第を報告すると、オスマン氏は長い顎鬚を扱きながら頷いた。
「はい。シロウくんが使用した“破壊の杖”に巻き込まれて死んだものと思われます……森が一直線に抉り削られていました……“破壊の杖”の名の通り凄い威力でした」
「ん、んん?」
頷きながら“破壊の杖”による破壊の跡の説明を聞いていたオスマン氏が、髭を扱いていた手を止め訝しげな顔をする。
「ふむ……それほどの威力とな……」
髭を扱くのを再開したオスマン氏は、意味深な視線を士郎に向けた。
向けられる視線に気付かないふりをしながら、士郎はオスマン氏の前に『破壊の杖』を置いた。
「これが“破壊の杖”でいいですか?」
「うむ、間違いないの」
オスマン氏は目の前に置かれた“破壊の杖”を確認し頷くと、ルイズたちに向き直った。
「フーケを捕まえられなかったのは残念だが、死んでしまったものはしょうがない。こうして“破壊の杖”が、無事に宝物庫に収まって一件落着じゃ。城への報告はわしがしておこう。」
そう言って、オスマン氏は一人ずつルイズたちの頭を撫でた。
「君たちの“シュヴァリエ”の爵位申請を、城への報告と共に出しておくからの。追って沙汰があるじゃろう。といっても、ミス・タバサはすでに“シュヴァリエ”の爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいたぞ」
ルイズとキュルケの顔がぱあっと輝いたが、タバサの顔はいつもどおり、興味なさそうに無表情だった。
「本当ですかっ!?」
キュルケが驚いた声で言った。
「うんうん本当じゃよ。いいんじゃいいんじゃ、君たちはそのぐらいのことをしたんじゃからの」
喜色を浮かべるルイズ達だったが、はたと後ろに控えている士郎の事を思い出し、オスマン氏に恐る恐ると問いかけた。
「あの……オールド・オスマン。シロウには……?」
「残念ながら彼は貴族ではないからの」
申し訳なさそうに言うオスマン氏に対し、士郎は肩をすくめてみせた。
「別段気にしていない」
そんな士郎に、オスマン氏が視線だけで謝ると、ぽんぽんと手を叩いた。
「さてと、今日の夜は“フリッグの舞踏会”じゃ。このとおり事件は解決したことじゃし。予定通り執り行うぞ」
キュルケの顔がぱっと輝いた。
「そうよ! フーケの騒ぎですっかり忘れてたわ!」
「今日の舞踏会の主
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