第九章 双月の舞踏会
第二話 桃りんご狩り
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
なったのだ。
具体的には一部屋。
そこで問題になったのが、士郎は何処で寝るかという問題であった。
ルイズ、シエスタ、キュルケ、ロングビル、セイバーは互いに自分が一緒に寝ると主張。
巻き込まれる事を恐れたアニエスは、沈む船から逃げ出す鼠もかくやという動きで一目散にその場から逃走。
ティファニアも同じく「子供たちが……」等と呟きながら早々にその場から離脱した。
残されたルイズたちは互いに一歩も譲らず、あわや流血沙汰になりかけたが、結局誰も士郎と一緒に寝ないと言うことで決着がつくことになった。
勿論士郎の意思など聞かれもせずに。
一言も発言することさえ許されなかった士郎は、強制的に一人外で寝ることを決められると、ただ一言「なんでさ」と呟くと粛々とその結果に従いその日の夜は外で一晩過ごすことになった。
色々なことで言い争いを始める(主に士郎が原因で)ルイズたちであったが、実のところ、セイバーとの関係はそれ程悪いとは言えなかった。
「喧嘩する程仲が良い」と言う訳ではないが、昨夜の争いが甲を制したのか、ルイズたちとセイバーの関係は良好と言っても良い。ルイズたちはセイバーの事をティファニアが呼ぶようにアルトと呼び。セイバーもルイズたちのことをそれぞれ名前で呼ぶようになった。
それはそれとして、実は昨日からルイズが少しことである。離れていた分だけ傍にいたいのか、昨日からずっとルイズは士郎の近くにいるようになったのだが、同じく執着も強くなったようで、セイバーとの朝稽古を知ると今朝のように理不尽な怒りを見せるようになった。最初士郎は、時間が経てば落ち着くだろうと考えていたのだが、結果それは甘い考えであったと判明することになる。
セイバーとの朝稽古に怒りを露わにしたルイズは、それからと言うもののまるで小判鮫のように士郎に張り付くようになったのだ。
そして今、士郎はそんなルイズをカルガモの子供のように後ろに引き連れ、昨日セイバーを宥める為に使用した食料を少しでも取り戻すため、ティファニアと共に森の中食料集めに従事していた。
三人はそれぞれ背中に大きな籠を背負っており。特に士郎が背負う籠は、小柄なルイズなら三人は詰め込めることが出来そうな程の大きさであった。
「これが桃りんごか、見た目はりんごだが、桃のように柔らかいとは何とも不思議な感じがするな」
「丁度これが熟れ頃で良かったわ。これだけあれば、昨日のアルトが食べた分を何とか取り戻すことが出来そう」
「と言うか、これ全部採るつもりなの?」
目の前にある桃りんごが生っている木々をぐるりと見回したルイズがポツリと呟く。
ルイズの前には、丸々と育った熟れた桃りんごが数え切れないほど生った木々の姿があった。一つの木に、少なくとも数十
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ