第九章 双月の舞踏会
第二話 桃りんご狩り
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
士郎は反対したのだが、ルイズたちは強固に今すぐ出ると言い出す始末。
夜の森は危ないと士郎は説得するのだが、セイバーとの関係を怪しむルイズやシエスタはそれでも強固に帰ることを主張。色々と経験豊富なロングビルとキュルケはどちらでもいいと表面上は落ち着きを見せてはいたが、その目はルイズたちと同じように出来れば直ぐに帰りたいと主張していた。経験豊富故か、セイバーとティファニアの危険性を敏感に感じていたのだろう。特にティファニアの攻撃力は、一緒に暮らしていたロングビルには痛い程理解しており。キュルケは似たような武器を持っているためか、その危険性を特に深く理解していたのだ。そのため、出来るだけ早くこの場から離れようとしていたのだが、その主張は第三者からの言葉によって止められることになった。
その第三者とは、トリステイン王国の女王陛下から直々に士郎の捜索を命じられたアニエスであった。
「目的の士郎はここにいるわけだから、そんなに急いで帰る必要はないだろう」とのアニエスの何の打算も裏もないその正論は、打算も裏もありまくりなルイズたちの主張を打ち砕き。結局血のにじむような(士郎だけ)の話し合いの結果、学園への帰還は二日後となった。
「ふぅん、で、朝からそんなにぼろぼろなのは、アルトと修行をしていたから―――と」
今、士郎の目の前には腰に両手を当てたルイズが額に血管を浮かべながら笑みを浮かべている。
笑いながら怒るという、士郎に関わった女性が知らないうちに手に入れ磨き上げるようになるスキルのレベルを、ルイズは順調に上げているようだ。ニコニコと擬音が付きそうなほどの笑みを浮かべたルイズが、じりっと士郎ににじり寄る。
激しくこの場から逃げ出したい欲求に駆られる士郎だったが、俺は何も悪いことはしていないはずだと思い直しグッとその場に踏み留まると、毅然とした口調で答えた。
「あ、ああ。何か悪かったか?」
―――微かに震えていたが。
「別に悪くはないけど……ただ、朝起きたらシロウがいなくて怖かったのよ……」
「―――ルイズ」
悲しげな色に染まる瞳をそっと伏せるルイズの様子に、士郎は思わず手を伸ばし。
「わたしたちが寝ている間にシロウを連れ出すなんて、やっぱり妥協するんじゃなかったわね。そうよ、今晩こそ一緒の部屋で―――」
「―――勘弁してくれ」
力なく垂れ下がった。
学園への帰還が二日後と決まり、昨夜の騒動はそこで終了となった―――訳ではなかった。学園への帰還が二日後と決まると、今度は新たな問題が発生した。その問題とは、士郎は何処で寝るかと言うことであった。今まで士郎は、空いていた部屋の一室を借りていたのだが、急に四人もの成人女性が現れたことから部屋の数が足りなく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ