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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第十二話 Me262 V1
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ま毛布にくるまって、堪えきれない嗚咽をそれでも必死に堪えていた。自分の思いが伝わらなかったばかりか、逆に怒らせてしまったのでは元も子もないではないか。シーツにはすっかり涙のシミができている。

「なんで、なんで怒らせるようなこと言っちゃったんだろう、私……」

 枕に顔を埋めて自責の念に囚われていると、控えめなノックの音が響いた。
 まるで部屋の中の人間を気遣うような、そんなノックの音だ。

(宮藤さんかな……)

 きっとそうだろう。だけど、今は誰にも会いたくない。
 和音は毛布を手繰り寄せ、その中に埋もれるようにして丸くなった。そうすれば、宮藤さんならそのうちあきらめて帰るだろう。そう思った。


 ――だから、勝手に部屋のドアが開いたとき、和音は心臓が飛び出るほど驚いた。


「――っ!?」
「ごめんな。ノックをしても居留守をしているみたいだから、勝手に入らせてもらったよ」

 明かりのない暗い部屋でもはっきりとわかる、ハニーブロンドの長髪。
 いつになく穏やかな声でそう言ったのは、シャーロット・E・イェーガーだった。

「し、シャーリー大尉……!!」

 驚き目元を拭う和音。そんな姿を笑うことなく、シャーリーはゆっくりと近づいてきた。

「隣、いいか?」
「……はい」

 未だ毛布に閉じこもったままの和音と、そっとベッドに腰を下ろすシャーリー。

(私って子供だな……)

 そう思っていると、シャーリーが唐突に口を開いた。

「――今日は、ありがとな」
「……え?」
「ジェットストライカーの事だよ。わたしも、アレは少しヤバいって思ってたんだ。だから、お前が勇気を出してアイツを止めようとしてくれたことが、嬉しかったんだ」
「………………」

 照れくさそうに頬をかきながら、シャーリーは続ける。

「機体のテストも大事だけど、それでウィッチが死んじまったらどうしようもないだろ」
「…………」

 何も言えずただ話を聞くばかりの和音の頭をそっと撫でて、シャーリーは颯爽とベッドから立ち上がった。普段は部隊のムードメーカー的な側面しか見せないシャーリーだが、その実彼女は思慮深く、他人の心の機微に関しては驚くほど鋭い。

「少佐や隊長にはわたしから言っておくよ。心配すんなって。――お休み、沖田」
「……はい。おやすみなさい、シャーリーさん」

 ようやく、ただそれだけを口にできたことに安堵しながら、今度こそ和音は横になった。
 不思議と涙が止んでいたことに気付く間もなく、和音は深い眠りへと落ちていった――


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