第6話「試験―@」
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タケルは学園長室に呼ばれていた。
本来ならば各担任がHRに駆り出されている時間。タケルもネギと共に2−Aに向かおうとしていたところ、学園長に呼び止められたのだ。
学園長室に顔を出したところ、学園長は第一声から本題に入っていた。
「少し、試験を受けてみんか?」
「はい?」
いきなりなんだ? と首をかしげるタケルに、学園長は独特な笑い声をあげて頷く。
「お前さんの評判は聞いとる。なかなかに頑張ってくれとるそうじゃの?」
「……」
訝しげな目をしつつ、ぺこりと頭を下げる。そんな彼の態度には構わず、学園長は話を続ける。
「そこで、じゃ。この時期ネギ君には教育実習を卒業するための課題が与えられる。生徒達も期末試験で騒ぎ出す頃じゃ。ついでだからお前さんもウチの試験を受けてみんか?」
「え?」
「お前さんに質問する生徒からは丁寧だと評判をうけておるぞ? 今なら面接その他もろもろは省いて一教科のみの課題でいいのじゃぞ?」
念を押す学園長に、タケルは一瞬だけ嬉しそうな顔を見せて、すぐに困ったような顔をする。
――だめか?
学園長が諦めかけた時、ゆっくりとタケルが答えた。
「是非お願いします」
このところタケルの仕事は少なかった。教師にもなれてきたネギは10歳で大学を卒業する程に優秀な人間で、それほどの人間が仕事を溜め込むはずもなく、むしろテキパキと終わらせていく。そのため、タケルは自分の副担任として居場所にすくなからず心苦しい思いを抱いていた。
先ほど少し迷った様子を見せたのはこの世界に来て、一度だけあったガンツのミッションのせい。いつミッションが入るとも知れない身で、教師を挑戦してもいいのだろうか、と逡巡したのだった。
だがまだカメ星人に呼ばれた夜以降、それはない。
そういったことを考えたタケルは頷いたのだった。
試験はタケルが唯一得意教科ともいえる国語。レベルは中学校レベルなので、問題自体はさほど難しくない。
問題点があるとするなら、それは課題がテストではないことだろう。先生たちを生徒役として、その問題の解説をすることが課題。
「期末試験日にやってもらうからの」
「わかりまし……た?」
頷いてからその動きを止める。
――期末試験日って、3日後じゃなかったか?
ギギギとまるで錆び付いた動きで学園長に顔を向ける。ロボットのような顔を向けられた学園長は、なかなかに素晴らしい笑顔で、ぐっと親指を立てたのであった。
どうやら大変に3日間になりそうだった。
その日の授業も終わり、タケルは自室で課題に取り組んでいた。
夕方から取り組んでいたそれはなかなかに難しく、気付けば陽が
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