第九章
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て舌打ちした。飯島が話を引き取った。
「ほう、5000万円も強請り取られたわけだ。そいつはお気の毒だったな。ところで、俺の元女房も佐久間に襲われた。と言っても、奴が直接手を下したわけではない。奴の配下の者だ。そのネガと写真はその直前に送られて来た。」
「ああ、その事件のことは聞いている。佐久間の仕業にちがいない。」
「幸い未遂に終わったが、俺は、佐久間にそのことを問い詰めた。そしたら、奴は、あっさり犯行に関与していたことを認めた。襲った奴は女房に言わせれば、ヤクザっぽい奴だ。その写真を撮ったのも、そのヤクザだと思う。」
「そうかもしれん。」
「警察も佐久間を重要参考人として探している。もっとも会社に届けていた住所はもぬけの殻だった。完全に姿を消した。ところで、お前、佐久間の居所を知っているんじゃないのか。すくなくとも、金を渡したってことは接触があったってことだろう。」
「いや、やり取りはすべて電話だった。それに金は振り込んだ。」
「ふーん。そう言えば、確か会長は元ヤクザの、うちの下請け会社の社長と友達だっただろう。その線で探させたんじゃないのか。」
「元ヤクザだが、今はれっきとした実業家だ。」
「分かった、分かった。そんなことより、俺の質問に答えろよ。」
「ああ、その人の手蔓で裏の世界の人間を動かして佐久間を探させた。それはやったよ。だが、見つからなかった。本当だ。見つけていれば、佐久間はどうなっているか分からん。」
この言葉を聞いて、飯島は佐久間の意図にようやく気付いた。
「佐久間は、会長が裏の世界に手蔓があるのを知っていた。つまり、俺が香織さん襲撃に関与していれば、会長が復讐のためにその手蔓を使って俺を襲わせると期待したのかもしれん。だから、俺がネガを持っていると言ったに違いない。」
南はにやりとして答えた。
「何故、佐久間はお前を陥れようとしている?佐久間に狙われる訳でもあるのか?」
飯島はそれには答えず、聞いた。
「会長は俺のことをどう思っている?俺が関与したと思っているのか?」
「お前でもヤクザは怖いのか。安心しろ、会長も、お前が佐久間の仲間だなんて思ってもいない。お前は、どんなに追いこまれてもそんな卑怯な真似はしないってことは、俺が一番良く知っている。会長にもそう言った。」
「別にヤクザが怖いわけじゃない。たとえ一瞬でも会長にそう思われるのが厭なだけだ。とにかく、もし、お前が、会長にそう言ってくれたのなら、感謝しなくてはな。」
「ああ、感謝しろよ。俺も、そこまでお前を追い詰める気はない。」
この言葉を聞いた途端、飯島の顔色が変わった。怒りを顕にして怒鳴った。
「何だと、そこまで追い詰める気はないだと。と言うことは、お前は俺をそれなりに追い詰める気でいたってわけだ。いったい、それは、どうしてなんだ。俺は、東
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