第一章 土くれのフーケ
第十一話 エミヤシロウという男
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で叫んだ。
「すぐに王室に報告しましょう! 王室衛士隊に頼んで、兵隊を差し向けてもらわなくては!」
コルベールの言葉に、オスマン氏は慌てて首を振ると目をむき、年寄りとは思えぬ怒鳴り声を上げた。
「ばかもの! 王室なんぞに知らせている間にフーケは逃げてしまうわ! それに、身に振りかかる火の粉を己で払えぬようで、何が貴族じゃ! 魔法学院の宝が盗まれた! これは魔法学院の問題じゃ! 当然我らで解決する!」
フンッ、と荒く鼻を鳴らしたオスマン氏の姿に、ロングビルは周りに気付かれない程度に小さく微笑を浮かべた。まるで、この答えを待っていたかのように。
それを横目で見たオスマン氏は咳払いをすると、有志を募った。
「では、捜査隊を編成する。我と思う者は杖を掲げよ」
しかし、オスマン氏の言葉に誰も杖を掲げない。困ったように、互いの顔を見合すだけだ。
「おらんのか? おや? どうした! フーケを捕まえて、名をあげようと思う貴族はおらんのか!」
オスマン氏が声を上げる中、ずっと俯いていたルイズだったが、不意に顔を上げるとすっと杖を顔の前に掲げた。
「ミス・ヴァリエール?!」
シュヴルーズが驚いた声をあげた。
「何をしているのです! あなたは生徒ではありませんか! ここは教師に任せて……」
「ならどうして誰も揚げないんですか!」
ルイズはきっと唇を強く結んで言い放つ。唇を軽くへの字に曲げ、真剣な目をしたルイズは凛々しく、美しかった。
それまで黙って事態の推移を見ていた士郎は、ルイズのその様子を眩しげに眼を細めて見た後声を上げた。
「ルイズが行くというなら、俺も行かなければな」
「シロウ」
士郎の言葉を聞き、ルイズの嬉しげな声を上げる。
見つめ合う二人の様子を見たキュルケが、負けじと勢いよく杖を掲げた。
それを見たコルベールがシュヴルーズと同じく驚いた声をあげた。
「ツェルプストー! 君は生徒じゃないか!」
キュルケは興奮した様子で言った。
「ふんっ! ヴァリエールには負けられませんわ!」
キュルケが杖を掲げるのを見たタバサも、ゆっくりとした動作で杖を掲げた。
「タバサ。あんたはいいのよ。関係ないんだから」
キュルケがそう言うと、タバサは短く答えた。
「心配」
キュルケは感動した面持ちで、タバサを見つめた。ルイズも嬉しげな表情でお礼を言った。
「ありがとう、ミス・タバサ」
「タバサでいい」
「えっ、ええ! ありがとう! タバサ!」
そんな三人の様子を微笑ましげに見ていたオスマン氏が、口元に笑みを浮かべた。
そのまま横目で士郎をチラリと見たオスマン氏は、視線に気付いた士郎が微か
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