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剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第十一話 エミヤシロウという男
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を地面に刺した。

「相棒、本当に殺すのかい?」
「ああ」

 デルフリンガーの問いに短く答えた士郎は、何も持っていない状態になると、自分の中の撃鉄を落とす。


投影開始(トレース・オン)

 士郎が何かを唱えた瞬間、何も持っていなかったはずの手に、大きな漆黒の弓を持っていた。
 士郎がその弓を構え、見えない矢を引くような格好をすると、士郎は幻想を形造る呪文を唱える。


投影重装(トレース・フラクタル )

I am the bone of my sword(我が骨子は捻れ狂う )





 士郎の手に歪な矢が現れた瞬間、世界が歪んだ。
 そう真剣に思えてしまうほどの力が、その歪な矢にはあった。
 フーケはその矢が自分に向けられているのを理解した瞬間、自分の死を確信する。
 そんな風に冷静に判断している自分に苦笑したフーケは、残される妹たちのことを思い、小声で謝った。

「―――ティファニア……ごめんよ」

 フーケの脳裏を最後によぎったものは、ウェストウッド村にいる妹たちではなく、何故か、自分に笑いかけてくる、士郎の笑顔であった。

 ああ……やっぱり、わたしは……。

偽・螺旋剣(カラドボルグ)

 フーケが何かに気づいた瞬間、士郎が強大な力を宿した歪な矢を放った。
 その瞬間フーケの意識は無くなり―――その時をもって『土くれのフーケ』は死んだ。





 士郎が放った矢は、ゴーレムの残骸を消し飛ばし、背後の森を突き抜け、その延長線上にあるもの全てを捻り消し―――後に残ったものは、地面に突き刺さった剣と、漆黒の弓を持って佇む男。





 ――――――そして、傷ひとつ無く、地面に横たわる女性の姿だけであった。

 






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