第一章 土くれのフーケ
第十一話 エミヤシロウという男
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スマン氏は話しを続ける。
「ほとんどおらんじゃろう。もし、責任があるとするのなら我々全員じゃ。この中の誰もが、まさか、この魔法学院が賊に襲われるなどと夢にも思わずにおったじゃろう。しかし、それは間違いじゃったみたいじゃの」
オスマン氏は、壁に空いた穴を見つめた。
「このとおり、賊は大胆にも忍び込み、“破壊の杖”を奪っていきおった。つまり、我々は油断していたのじゃ。責任があるとするなら、わしら全員にあると言わねばなるまい」
ミセス・シュヴルーズは、感激してオスマン氏に抱きついた。
「おお、オールド・オスマン、あなたの慈悲のお心に感謝いたします! わたくはあなたをこれから父と呼ぶことにいたします!」
オスマン氏はそんなシュヴルーズの尻を撫でた。
「ええのじゃ。ええのよ。ミセス……」
「わたくしのお尻でよかったら! そりゃもう! いくらでも! はい!」
「むふふ……たまには熟女も良いかものお」
「だれが熟女ですかっ!」
「ごっふっ!」
オスマン氏がシュヴルーズの尻を撫でながらつぶやいた言葉に、いきなり激高したシュヴルーズはオスマン氏にボディブローを打ち込んだ。
えっ? ええっ―――っッ?!
「ぐ、ぐふ、い、いや……鳩尾はしゃ、洒落にならんぞ……」
「オールド・オスマンっ! わたくしはまだまだ若いですっ!」
ええ―――!?
「ぐ、ぐぐっ。っっぅ……そ、それで、犯行の現場を見ていたのは誰だね?」
オスマン氏はおなかを押さえながら尋ねた。
「この三人です」
コルベールがさっと進み出て、自分の後ろに控えていた三人を指差した。
ルイズにキュルケ、そしてタバサの三人である。士郎もそばにいたが、使い魔なので数には入っていない。
「ふむ……君たちか」
オスマン氏は鋭い目で士郎を見つめた。士郎は、その視線に対して、肩をすくめてみせた。
「詳しく説明したまえ」
ルイズが進み出て、見たままを述べた。
「えっと、丁度この辺りを、その……さ、散歩していたんですが、その時大きなゴーレムが現われて、ここの壁を壊したんです。そして……たぶん、フーケだと思いますが、この宝物庫の中から“破壊の杖”を盗み出した後、フーケはゴーレムの肩に乗りました。その後、ゴーレムは城壁を超えて歩きだして、最後には崩れて、土になりました」
「それで?」
「慌てて追いかけましたが……フーケと思われる人物は、影も形もありませんでした」
「ふむ、手がかり無しというわけか……」
それからオスマン氏は、打たれた腹を撫でながら、そこでハタと気付いた様子でコルベールに尋ねた。
「ときに、ミス・ロングビルはどうしたね?」
「それがその……朝から姿が
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