第一章 土くれのフーケ
第十話 土くれのフーケ
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
きを立てながら地面が盛り上がり出す。
盛り上がる大地が段々と何かの形を成していくのを見ながら、フーケはポツリと小さく―――
「……これで、さよなら、か」
―――どこか寂しげに呟いた。
「―――これはっ!」
異変に気付き、士郎が本塔の方角に顔を向けると、そこには全長三十メートルはあろうかという、巨大なゴーレムが立っていた。
「なっ! ゴーレム、だと? なんてでかさだっ!」
警告のため士郎がルイズたちへと振り返った時、そこでは、未だにルイズとキュルケが言い争いをしていた。
「はぁ? ルイズ、もしかして今の『ファイヤーボール』のつもり? っぷくく、とんだ『ファイヤーボール』もあったものね」
「ふ、フンッ。そう言うキュルケこそ、自信満々だった癖に、ほら、見なさい当たっても倒れてないじゃない。っふふ、所詮ツェルプストーはその程度なのね」
「何よっ!」
「そっちこそ何よっ!」
ルイズたちは、互いに罵り合っていることから、周りの様子に全く気付いていなかった。
士郎はその光景を見て一瞬呆けたが、すぐに頭を振り頭を切り替えると、言い争っている二人を一喝する。
「馬鹿がっ! 何をやっているっ! 周りを見ろっ!」
「ひゃっ!」
「にゃっ!」
突然の士郎の一喝に驚いたルイズたちは、まるで驚いた猫の様に飛び上がって悲鳴をあげた。
二人はいきなりの怒声に、涙目になりながらも士郎を睨み付ける。
「ちょっとシロウっ、いきなり何よっ!」
「びビッ、ビッ、ビックリしたじゃないっ!」
二人の意識が自分の方へ向いたのを確認して、士郎は本塔の外壁を壊しているゴーレムを指で指した。
「はぁ……あれを見ろ」
「何よ、あれって―――って、なっ、何よあれっ!」
「は? ……ゴー、レム?」
二人は士郎の指先の延長線上にある、ゴーレムに気付き驚きの声を上げた。
呆然と見上げる三人の目の前を悠然横切ったゴーレムは、本塔の前に立つとその外壁目掛け、何度も巨大な拳が打ち下ろした。石壁に拳が振り下ろされる度に、鉄と鉄とがぶつかりあうような金属音に似た音が何度も響き―――一際大きな音と共に本塔の外壁に拳がめり込み。拳が石壁に刺さった場所から、鈍い音と共に外壁が崩れ始めた。
フーケは巨大なゴーレムの腕を伝い、外壁に空いた穴から、宝物庫の中に入り込んだ。
中には様々な宝物が。しかし、フーケの狙いはただ一つ―――『破壊の杖』。
宝物庫の一角に、様々な杖がかかった壁があった。
その中に、どう見ても魔法の杖には見えないものがあった。全長は一メートルほどの長さで、見たことがない金属で出来ていた。もしやと思い、フーケが杖の下にかけられた鉄製のプレート
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ