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剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第十話 土くれのフーケ
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きを立てながら地面が盛り上がり出す。
 盛り上がる大地が段々と何かの形を成していくのを見ながら、フーケはポツリと小さく―――

「……これで、さよなら、か」

 ―――どこか寂しげに呟いた。





「―――これはっ!」

 異変に気付き、士郎が本塔の方角に顔を向けると、そこには全長三十メートルはあろうかという、巨大なゴーレムが立っていた。

「なっ! ゴーレム、だと? なんてでかさだっ!」

 警告のため士郎がルイズたちへと振り返った時、そこでは、未だにルイズとキュルケが言い争いをしていた。

「はぁ? ルイズ、もしかして今の『ファイヤーボール』のつもり? っぷくく、とんだ『ファイヤーボール』もあったものね」
「ふ、フンッ。そう言うキュルケこそ、自信満々だった癖に、ほら、見なさい当たっても倒れてないじゃない。っふふ、所詮ツェルプストーはその程度なのね」
「何よっ!」
「そっちこそ何よっ!」

 ルイズたちは、互いに罵り合っていることから、周りの様子に全く気付いていなかった。
 士郎はその光景を見て一瞬呆けたが、すぐに頭を振り頭を切り替えると、言い争っている二人を一喝する。

「馬鹿がっ! 何をやっているっ! 周りを見ろっ!」
「ひゃっ!」
「にゃっ!」

 突然の士郎の一喝に驚いたルイズたちは、まるで驚いた猫の様に飛び上がって悲鳴をあげた。
 二人はいきなりの怒声に、涙目になりながらも士郎を睨み付ける。

「ちょっとシロウっ、いきなり何よっ!」
「びビッ、ビッ、ビックリしたじゃないっ!」

 二人の意識が自分の方へ向いたのを確認して、士郎は本塔の外壁を壊しているゴーレムを指で指した。

「はぁ……あれを見ろ」
「何よ、あれって―――って、なっ、何よあれっ!」
「は? ……ゴー、レム?」

 二人は士郎の指先の延長線上にある、ゴーレムに気付き驚きの声を上げた。



 呆然と見上げる三人の目の前を悠然横切ったゴーレムは、本塔の前に立つとその外壁目掛け、何度も巨大な拳が打ち下ろした。石壁に拳が振り下ろされる度に、鉄と鉄とがぶつかりあうような金属音に似た音が何度も響き―――一際大きな音と共に本塔の外壁に拳がめり込み。拳が石壁に刺さった場所から、鈍い音と共に外壁が崩れ始めた。



 フーケは巨大なゴーレムの腕を伝い、外壁に空いた穴から、宝物庫の中に入り込んだ。
 中には様々な宝物が。しかし、フーケの狙いはただ一つ―――『破壊の杖』。
 宝物庫の一角に、様々な杖がかかった壁があった。
 その中に、どう見ても魔法の杖には見えないものがあった。全長は一メートルほどの長さで、見たことがない金属で出来ていた。もしやと思い、フーケが杖の下にかけられた鉄製のプレート
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