第一章 土くれのフーケ
第十話 土くれのフーケ
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壁の周りをぐるりと見回していたフーケは、近付いてくる何者かの気配に顔を向けた。
確実に近付いてくる様子に、フーケは中庭の植え込み向かって駆け出し、その中に姿を消した。フーケの姿が消えて数分が経つと、四つの人影が姿を現した。
中庭に現れたのは、ルイズとキュルケと士郎、そして最後尾に『ライト』の明かりで本を読みながら付いてくるタバサ。
「―――それで、どうやって決着を着けるのよ?」
「はんっ。何言っているのよルイズ。あたしたちは何? 貴族でしょ。なら、やっぱり最後は魔法で決めなくちゃ、でしょ?」
キュルケの言葉に『うっ』と小さく呻き顔を歪めたルイズであったが、それでも胸を張って堂々とした姿を見せる。
「え、ええっ! 良いわよ! じゃ、じゃあ、ルールはどうする?」
ルイズが同意の声を上げると、キュルケは鼻で軽く笑い、ルールを説明するために口を開こうとしたが、それは士郎の声に遮られた。
「待ってくれ、ルールは俺が考える」
「えっ? 士郎が? ま、まあ、わたしは良いけど……キュルケは?」
「うっ、まっ、まあ、良いけど……」
士郎の突然の声にルイズたちは驚いたが、ルイズは驚きながらも同意し、キュルケはどこか不満そうな顔をしながらも同意した。
士郎はそんな二人の様子を見て苦笑しながらもルールを説明した。
「ルールは簡単だ。あそこに丁度良く、今にも倒れそうな木が二本あるだろ。俺から見て、右にあるのをキュルケが、左の本塔の近くにある木をルイズが、それぞれの魔法で倒す。あの木を少ない回数で倒した方の勝ちだ」
「わかったわ」
「ええ、それでいいわよ」
士郎の説明に頷いた二人は、早速杖を構え、呪文を唱え始めた。
先に呪文を完成させたのは大方の予想通りキュルケであった。
キュルケお得意の『ファイヤーボール』が木に当たったが、木は一部が吹き飛び、火が着いただけで、まだ倒れる様子は見えない。
遅れて、ルイズもキュルケと同じく『ファイヤーボール』の魔法を放ったが、火球は出ずに、代わりに、木の後ろにある本塔の外壁が爆発し、ヒビが入っただけであった。
フーケは、中庭の植え込みの中から一部始終を見守っていると、ルイズの放った魔法で、宝物庫の辺りの外壁にヒビが入ったのを見届けた。
なっ……、いったい、あの魔法は何なんだい? 唱えていた呪文は『ファイヤーボール』だったのに、火球が出ずに外壁が爆発した? あんな風にモノが爆発する呪文なんて見たことが……。
フーケの頭の中は瞬時に疑問でいっぱいとなる。しかし、それでも冷静に頭を働かせ、チャンスを逃すことは無かった。
フーケは一度頭を振ると、呪文の詠唱を始めた。
詠唱が完成すると、地面に向けて杖を振る。
すると、地響
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