第一章 土くれのフーケ
第十話 土くれのフーケ
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た。
すると、その疑問にキュルケが答えた。
「それは……あたしの友達だし」
「いやいやっ、だからぁっ、あんたの友達がっ、どうしてわたしの部屋にいるのかを、聞いているのよっ!」
それにキュルケは、その大きな胸を張って、堂々と言い放つ。
「あたしが知るわけないじゃないっ!」
「はぁ? あんた何言っているのよ。馬鹿なの? 死ぬの?」
「何ですって!?」
「何よっ!」
タバサに杖を吹き飛ばされた二人は、今度は肉体言語による会話を行おうとでも言うように構えを取った。
どこぞのストリートファイトが開始される直前のような二人の姿。どこぞから『roundT―――ファイッ!!』といった声が聞こえてくる前に、何とかしなければと士郎がタバサに期待を込めた視線を向ける。だが、タバサは魔法じゃなければいいとでも言うように、本に目を落として我関せずの状態。
その様子に、士郎は深いため息をつくと、覚悟を決めて二人の間に割って入った。
「―――そこまでだ。外を良く見てみろ。もう直ぐ日が暮れる。このまま暴れると周りの部屋に確実に迷惑をかけるぞ」
「―――シロウそこを退いて」
「―――シロウ、退いてもらっていいかしら。ルイズとはそろそろ決着をつけないといけないのよ」
―――ッツ! こっ、恐い……これは、このまま成長すれば、遠坂たち並みになるな…。だがっ! 今はまだ遠坂たち並みでは無いっ! ならばっ、やれるはずだっ!
士郎はどこかデジャブュを感じるルイズたちのやりとりの間に入り、現状を打破する策を必死に考えた。
「シロウ、いいから……」
「シロウ、ちょっと邪魔……」
「―――外だっ!」
いつまでも動かないシロウを見て、痺れを切らしたルイズたちが、シロウに言いよった瞬間、士郎は突然声を上げた。
「「……外?」」
士郎が突然上げた声にルイズたちは、声を合わせて疑問の声を上げる。
ぐるりと士郎はそんな二人を見て言った。
「どうしてもやると言うなら、外でやれ。ここでは迷惑になる」
「まあ、そうね」
「……確かに。キュルケはともかく、他の人には迷惑はかけられないわね」
「―――何よ?」
「―――何?」
「「ああんっ!?」」
「―――だから止めろと言っているだろ」
「「……は〜い」」
士郎の提案に同意した二人は、杖を拾い上げ、外に向かって歩き出したが、ドアの前で二人同時に振り返ると、部屋に突っ立ている士郎に言い放った。
「「シロウも来なさいっ!」」
「なんでさ」
二人に呼ばれた士郎は、肩を落として二人の後を付いていく。そんな様子を横目で確認したタバサは、本から目を上げずに片手だけ上げると、士郎たちに向けて手を軽く振った。
本塔の外
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