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剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第十話 土くれのフーケ
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はシュペー卿が『固定化』をかけているから鉄でも切れるって……」
「確かに『固定化』をかければ、強度や耐久度が上がるが、この剣には余計なものが多い。例えばこの装飾だ。戦いにこんなものが必要な理由がない。それどころかあっては邪魔になる。特にこの装飾は剣の重心がバラバラで、そもそも剣としての完成度が半端なものだ」
「そ、そんな〜。じゃっ、じゃあ、その剣はどうなのよ? 錆が出てボロボロじゃない」

 士郎は壁に立て掛けているデルフリンガーを指差して、文句を言ってくるキュルケを見て言った。

「まあ、一見そう見えるが。……造りがしっかりしているいい剣だ」
「それが〜?」

 キュルケが疑わしげな目を向けると、デルフリンガーが文句を言った。

「おうおう、言いように言ってくれるがよう、おれっちはすげえんだぜ。まさに伝説の剣と言ってもいいぐらいなんだぜ!」
「ふ〜ん、インテリジェンスソードなんだ。でも……それだけじゃねぇ」
「おいおいなんだよその目は、なあ相棒も何か言ってやってくれよ」
 
 デルフリンガーに頼まれた士郎は、顎に手を当て少し考えた後に言った。

「まあ……この剣なら壊れても問題がないしな」
 
 ―――ぶっ!

「あっ、相棒そりゃひでぇぜっ!」
「……まあ、それは冗談として」
「冗談かよ……笑えないのは止めてくれよ相棒……」

 デルフリンガーの震える声に、軽く笑った士郎は、小声でデルフリンガーにのみ聞こえる声で呟いた。

「ま、それが嫌なら、さっさと本当の姿(・・・・)になることだな」
「あん?」
 
 士郎の言葉に疑問の声を上げるデルフリンガーを無視して、士郎はキュルケに説明した。

「まあ、見た目はボロボロだが、ごちゃごちゃとした余計な装飾もなく、造りも意外としっかりしてるしな」
「シロウがそう言うなら……」
 
 シロウの言葉に落ち込んだ様子のキュルケを見た士郎は、微かに笑ってキュルケに近付き、その燃えるような髪に手を置き、優しく撫でた。
 
「あっ…」
「すまんな、だが気持ちは本当に嬉しかった。ありがとうキュルケ」

 頭を撫でながら優しく笑う士郎を見たキュルケは、普段の華やかな様子ではなく、まるで初心な少女のように頬を染め、上目遣いで士郎を見上げた。
 
「あの……」
「ああっ、すまん、嫌だったよな」
「あっ」
 
 キュルケが声をかけてきたのが、嫌がっているものと勘違いをした士郎は、キュルケの頭から手を離してしまった。キュルケは離れていく手を物欲しそうな顔をして見つめている。
 そんな様子を見たルイズは、顔は笑顔でありながら、しかし、額に青筋が浮かばせながら士郎に詰め寄る。

「シロウ? なにやってるのかな? かな? かなかな?」
「ルッ、ル
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