第一章 土くれのフーケ
第十話 土くれのフーケ
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固定化”がかけられた壁は、物理衝撃が弱点なんだけど……この厚さじゃ、わたしのゴーレムの力でも、壊せそうにないね……」
腕を組んで悩むフーケ。
どうやって侵入するかと何にか良い方法はないかと考え込む。そんな中、以前宝物庫に侵入する方法を調べるため、図書館から借りた本のことをふと思い出す。図書館から出た際に出会った男を……。
「―――エミヤシロウ……か」
妙に女慣れした様子で『綺麗』やらなんやら言ってからかってきたかと思えば、何やら警告じみた言葉を残して去って行く。
どう見ても只物では無い雰囲気を纏う男。
「『やめておけ』……か、はぁ……全く無理な事を言う…………残念ながら、わたしにはこれ以外の方法なんて……」
無意識に口から漏れたのは、言い訳染みた言葉。歪んだ視界を数度の瞬きで回復させたフーケ。
「哀れに泣いても誰も救ってなんかくれない……だから私は……あの子のために……」
マントを翻し、フーケは本塔の壁を蹴る。本塔から離れたフーケの姿は月明かりから外れ、あっと言う間に見えなくなる。
フーケの独白は誰にも聞かれることなく夜の闇に消えていった……。
フーケが本塔の壁に足をつけて何やら悩んでいた頃……。
ルイズの部屋ではとある騒動が持ち上がっていた。
部屋の真ん中で、ルイズとキュルケがお互いに睨み合っていた。
その様子を士郎は、壁に寄りかかりながら、キュルケから渡された剣を見つつも、キュルケとルイズの言い争いを横目で見てはため息をついていた。
一方、何故かこの場にいるタバサはベッドに座り、本を広げて読んでいた。
「で、どういう意味? ミス・ツェルプストー」
腰に両手を当てて、ぐっと不倶戴天の敵を睨んでいるのがルイズである。
噛み付かんばかりに睨みつけてくるルイズに向かって、キュルケは悠然とした微笑みで迎え撃つ。
「だから、さっきから言っているでしょう。とってもいい剣を手に入れたから、そっちを使ったらって言ってるのよ」
「おあいにくさま。シロウの使う道具なら間に合ってるの。ねえ、シロウ」
ルイズにいきなり話を振られた士郎は、苦笑いしながら答えた。
「すまないがキュルケ、これは使えないな」
「えっ! どうして!」
「ほら見なさい!」
士郎の言葉に驚きの声をあげたキュルケは、士郎に問い詰めた。
「ねえシロウ。この剣のどこがダメなのよ! すごく綺麗で太くておっきくて、しかも、あのシュペー卿の作品なのよ!」
詰め寄るキュルケを抑えながら士郎は答えた。
「まあ、落ち着けキュルケ。この剣は観賞用としてはいいかもしれないが、実用には耐えられん」
「ええっ、実用に耐えられないなんて……どうして? この剣に
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