第三十五話 少年期Q
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年後かもしれない。じいさんになった時かもしれない。そんな先まで俺は待てるのか? そんなにも長い間一緒にいられるのか? 自分に問いかけて、うなずいた。
きっと、なんとかなるだろう。
『俺さ、本当はエイカに学校のこと色々話したかったんだ。少年Cの珍事件とか、少年Eのゼリー事件とか、メェーちゃんの本の虫がどれだけすごいかとか。あとこんな勉強していて、大変なんだぞーってさ』
俺が悩んでいたのは、きっとそれだけの理由。最初にあった時のようなあんな冷たい目をしたエイカじゃなくて、バカだろって突っ込まれながらおかしそうに笑う友人と一緒にいたい。大概呆れられた目だけど。俺がやりたいことなんて、ただそれだけだ。
『学校のことか…。いいだろ、俺が一肌脱いでやる』
『え?』
店主さんからさっきまでの真面目な表情は消え、いつもの様な胡散臭いおっさんに戻っていた。いいんですか、と尋ねた俺に店主さんは一言だけ告げると楽しそうに笑って店の奥に去って行った。
俺は子どもがバカやって、笑っているのを眺めるのが楽しいんだよ、とそれだけ言って。
******
「今の答えは絶対に13だ。裏回答とか学校でそんなこと習わねぇだろ」
「ふっ、甘いなエイカ。知っていても人生の役に立たない。でも知っていたら楽しいってとある番組でも―――」
「やっぱり出ねぇんだな」
そんな身もふたもない。
俺とエイカは、ちきゅうやの店の奥にある部屋を借りさせてもらっている。というか店主さんたちの家のリビングとでも言うべきだろうか。ここ居住スペースだし。そしてまさか部屋の中が畳になっているとは思っていなかった。ナイス、店主さん。
ちゃぶ台の上に俺の教科書を開き、そばには資料集や辞書などを置いている。エイカの机の前にはノートが置かれており、まさに勉強風景。午前午後と続けて勉強する俺、超真面目。みんなにはエイカとの勉強会のことを告げてもいいのだが、エイカに口止めされているので言っていない。その理由はなんとなくわかるので俺も了承している。ほら、エイカ負けず嫌いだから。
「あぁー、ちくしょう。勉強とかめんどくせぇー」
「そう言いながら結構頑張るよね、エイカって」
「お前より頭が悪いとか、人として恥ずかしいじゃねぇか」
よし、言いたいことはわかった。店主さんの家にも冷凍庫があることを俺は横目で確認した。
「店主のやつ横暴だろ。何が『仕入れの銭勘定とか物流方面にも力を入れたいな。よし、バイトどもよ、よく聞け。このちきゅうやを盛り上げる、そして俺を楽させるためにいっぱい勉強するんだ。そしたらお前らの給料2倍な』だ。ちくしょう…」
「まぁまぁ、俺も給料2倍に踊らされたし。それなら2人で勉強した方が効率いいだろ。俺
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