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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
黒守黎慈の変化
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も存在しなかったのだ。

 この手に刻んだ死は二つ目。これからもっと増えることになるのか。
 天涯孤独となり冬木に移住したばかりの頃、過去に教会で俺の胸を抉った言葉が蘇る。



《逃れられまい、その宿業からは。まるで呪いのような生き方だ。何を成そうと何一つ残るものもない》
《もしも君が誰かの救済を求めたなら、その誰かから殺すことになる。ならば君にとっての祝福とは、最期の間際にしか得られぬものなのだろうな》



 だからそう。何故気分が悪いのか、何が気持ちが悪いのか。

 一般的な、客観的な考えから見た場合の、黒守黎慈の異常。
 過程はどうあれ、理由がどうあれ、己の内にはただ表面的な結果だけを記録する。

 俺が戦闘に高揚感を覚え、あまつさえその感覚、感性に酔っている原因はここにある。
 戦いの中で初めて過程を愉しむという感情を得られ、自己防衛、他者撃滅、聖杯獲得等といった理由を与えられる。

 自分で自己を分析して認識した際に、異常と思えるだけマシなのだろうか。
 今後魔術師として生きていくとしたら、これを普通だと思うようになる日が来るのだろうか。

 まるで自分が無感動な心持たぬ人形のように思えて、どうしようもなくおぞましさを覚えてしまう。










「自分のコトで悩んでてもしゃあないだろ」

 昨日を振り返り、陥りかけた負の思考螺旋から脱け出す。
 世の中なるようにしかならない。自分で決めて自分で進んだ道に文句なんてあるはずもない。

 フェンサーと共に戦うと決めた。慎二を自分で始末すると決めた。
 その"結果"が今であり、ここで覚悟を鈍らせたり苦悩したりするのは、自分自身を蔑ろにしているのと同じだと思うのだ。

 よし、もうこの件については割り切った。
 慎二の死から今まで考えたことについて、忘れることはないけれどもう思い出すことはないだろう。

 考えるとしたらこれからのこと。内心で変わったモノなどもあるのだ。

「さて、朝飯の用意でもするか……」

 そうだ、腹が減ってるから気も滅入る。
 肉体にも精神にも活を入れればこんな鬱々とした気分も晴れるだろう。

 てか昨日から何も食べてないなそういえば。
 朝は夢のせいで吐きまくってたし、気分悪いままだったから昼飯も抜いたし、学園から帰ってからは即バタンキューだったし。

「ガッツリ食うために米炊こう」

 2合分の米を洗って炊飯器にかける。おかずは味噌汁を適当に作って、後は玉子焼きとかでどうだろう。
 最近は玉子焼きや目玉焼きにソースやらマヨネーズやらかける奴がいるらしい。そんな和を捨てたような奴らは海外にでも永住してしまえ。

 自分が玉子焼き等には醤油派であるという
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