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東方攻勢録
第一部
第一話
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変なこと言って」

「いいって。普通はそう思うさっと」


小町はそう言って笑みを返すと、船に乗せていた俊司の死体を持ちあげた。


「じゃ、あたいはこれで」

「あ、はい。あの……どこに持っていくんですか?」

「映姫様に言われたところだけど……まあ、何するかは分からないんだけどさ」

「そうですか……すいません。ありがとうございました」

「いい判決が下されるといいね。じゃあ!」


そう言い残すと、小町はその場から居なくなっていた。

なにも聞こえなくなり、そよ風がすぅっと駆け抜けていく。そのなかで、俊司は一人表情を濁していた。


「妖夢……」


俊司の頭の中には、生き別れとなってしまった少女が映っていた。

思い出すたびに俊司の心は締め付けられる。だが、思い出さなくてもさびしくなってくる。心が不安定になっているのか、俊司はなぜか泣きそうになっていた。


「……ごめん」


ふと三途の川の向こう側をみた俊司は、無意識にそう呟いていた。彼女に向けての言葉だったのか、あるいはみんなに向けての言葉だったのか、それは俊司自身にもわからなかった。

ゆっくりと息を吐くと、俊司は重い足をゆっくりと動かし始める。できるだけ何も考えず、ただただその時が来るまで、ひたすら足を動かしていた。









その数十分後、死人里中俊司の裁判が開始された。

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