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東方攻勢録
第一部
第一話
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こが船の上であることに気がついた。よく見ると、小町も舵を取るようなしぐさをしている。

その瞬間、俊司はなぜか表情を青ざめていた。


「……あの」

「ん? なんだい?」

「賃金……もってないんですけど……」


死神に船の代金を渡さないと、三途の川に落とされる。それは小町であっても同じであるはずだ。それに俊司はこの世界のお金を持ってはいない。

だが、不安そうにする俊司を見ながら小町は笑っていた。


「あははっ。大丈夫大丈夫! お金は映姫様が支払ってくれるからさ!」

「えっ……なんでですか?」

「それがねぇ……それすらも理由を聞かされてないのさ。死人の賃金を閻魔が払うなんて前代未聞なのにねぇ」

「……そうなんですか」

「ま、それはそれだからね。さてと、お前さんにいろいろ聞きたいことがあるんだ。退屈させないでくれよ?」


そう言って、小町は笑みを浮かべていた。











地獄にて


「四季映姫」

「はい」


映姫と呼ばれた少女は、ある男に呼び止められていた。


「今日の裁判だが、急に入れ替えを行ったと聞いたが?」

「はい。早急に裁かなければいけないものがいたもので」

「だが……」

「もう決定しましたから。では、時間ですので」


それだけを言い残すと、映姫は男に一礼したのちその場を後にした。


「まったく……何を考えてるかはだいたいわかるが……そんなに急ぐことなのか?」


男は去っていく少女を見ながら、軽く愚痴をこぼしていた。











そのころ彼岸では、


「はい到着! なかなか面白い話だったよ。外の話も聞けたし!」

「それはよかったです」


川岸で、小町と俊司は話をしていた。


「さて、しばらく経ったら裁判が始まるから、それまでゆっくりしときなよ」

「ありがとうございます……あの、一つ質問いいですか?」

「ん? なんだい?」

「幻想郷のことです。あんなことになってるのに、どうして助けに行こうとしないんですか?」


俊司がそう問いただすと、小町は急に険しい顔になった。


「あたいだってなんとかしたいさ。でも、ここに来る人はいつ何時増えるかわからない。だからここを離れることもできないんだよ」

「……」


幻想郷でおきているのは戦争そのものだ。小町の言うとおり、いつ誰がどこで死んでしまってもおかしくはない。

ましてや、それが多人数となってしまったら、明らかに人手不足となってしまう。それを回避するためには、仕方ないとしか言いようがなかっただろう。


「すいません
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