第一部
第一話
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「ん……あ……れ?」
目を覚ますと、少年は空を見つめていた。最後に見た景色とは全く違う。すべてを支えてくれそうな空だった。体もいつも通りで、痛みを感じることなく動いていた。
そっと視界に自分の手を持っていく。なんの変哲もない、いつもの手だった。
「なにが……おきて……」
「お! 目覚めたかい?」
「!?」
少年が体を起こすと、そこには二十代くらいの女性が立っていた。
「あははっ。そんな驚いた顔しなくてもいいじゃないか」
「あっ……いえ……すいません」
「いいよ謝らなくて。えっと……里中俊司君でいいね?」
「あ、はい。小野塚小町さん」
俊司がそう言うと、小町は笑いながら「ああそうさ」と返事をした。
「さて、外来人の君なら、私がここで何をしているかわかるよね?」
「はい。俺の魂を運んでるってことですよね。小野塚さん」
「小町でいいよ」
どう言って、小町は笑っていた。
「あ……はい」
「まあ、魂を運んでるのは運んでるんだけどね。でも気にならないかい?」
「何がですか?」
「なんであたいがあんたを運んでるかってことだよ。私の仕事は、主に幻想郷の住人を対象にしてるのに、外来人であるあんたを運んでるんだからさ」
「あ……」
確かに、外の世界でも小町の仕事内容は幻想郷の死者の担当だと聞いたことがあった。
なら、なぜ外来人である俊司の魂を運んでいるのか。なにか例外があってのことだろうが、俊司に分かるわけがなかった。
「すいません……わからないですね」
「まあそうだろうね。ほら、そこ見てみ?」
「え……!?」
背後を振り向いた俊司は、ただただ唖然としていた。
見覚えのある服装・髪型・顔。それに腹部に突き刺さったナイフ。周りには生々しく血で濡れている。
どこからどう見ても俊司自身だった。
「俺の……体?」
「正確的に言うと死体だね」
「死体……でもなんで小町さんが俺の死体なんかを……?」
「映姫様から直々に言われたのさ。まあ理由は分からないんだけどね」
小町はそう言って笑っていた。
映姫様とは、おそらく小町の上司にあたる地獄の閻魔様『四季映姫』のことだろう。だが、なぜ彼女が俊司の死体を持ってくるように命じたのか、まったくと言って見当がつかなかった。
「そうですか」
「悪いね。さて、もうしばしの船旅だ。まあ、ゆっくりしときな」
「船旅……? あ…‥‥」
これだけ長い間話をしていたにもかかわらず、俊司は今初めてこ
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