第九章 双月の舞踏会
第一話 朝食会
[10/10]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ことは、紛れもない事実だろう。
少なくとも、アニエスは士郎程強い人間を見たことがない。
七万の軍勢を打ち倒す男の力。
昨夜の戦いで、アニエスはその片鱗を見た。
自分も部下たちから人間離れしているとよく言われるが、この男は文字通り人間離れしている。
『メイジ殺し』と称えられる自分だが、しかし、開けた場所でメイジと戦えば勝つことは不可能に近い。
魔法を放たれるよりも先に銃弾を叩き込める自信はあるが、人間を一撃で絶命させられる程の力が銃にはない。止めを指す前にメイジの魔法が自分を襲うだろう。
複数の剣士を相手にするのも同じだ。
負けるつもりはないが、囲まれればやがて力尽き殺られるだろう。
だが、この男はそれをものともしない。
メイジの力を、数の力を簡単に覆す。
アニエスの目がすっと細まる。
「エミヤシロウ」
ポツリと男の名を呟く。
誰が信じられるだろうか。
今目の前で少女たちに迫られ小さくなっている男がメイジを圧倒する力を持ち、七万の軍勢さえ打倒したと。
細まった目が、士郎に迫る少女の一人を映す。
「アルトリア・ペンドラゴン」
アルトリア・ペンドラゴンと名乗った少女。
衛宮士郎の古い知り合いだという少女。
七万の軍勢を打ち破った男をも上回る剣士。
「まるで……物語に語られる『英雄』のようだ……な」
溢れるように口から漏れた言葉は、誰に聞かれることなく消えていった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ