第九章 双月の舞踏会
第一話 朝食会
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だったとは……驚いたな」
そして更に、ロングビルに迫られ怯えるティファニアをぼんやりと人ごとのように眺めていた士郎が、何気なく呟いた一言が―――。
「―――そう言えばシロウ。あなたもロングビルのことマチルダって言ってたわね。と言うかテファて何? テファって? 呼び捨て? この子と随分仲がいいのね?」
新たな別の風を創りだした。
「あ〜……ルイズ、目が怖いぞ」
「どういうことですかシロウさん?」
「シエスタ……目が笑ってないぞ」
「あはは……シロウさんソンナコトナイデスヨ?」
「ホントオカシナシロウ」
「あ、はは……す、すまない。そうだな、そんなことないよな」
「「でシロウ。この二人の金髪の子との関係は? どうしてロングビルのことをマチルダって呼んでるの?」」
「やっぱり目が笑ってないっ!!」
「「さあ、答えなさいっ! シロ―――」」
―――パンッ―――
段々と収集がつかなくなり、混沌を極めようとする場に手を叩く乾いた音が響いた。
「はいはいそこまで。これじゃ全然話が進まないじゃないの。まずはそうね」
手を叩いたのはキュルケであった。
キュルケはパンパンと手を叩きながら布の真ん中まで歩いていくと、ロングビルに指を突きつけた。
「ロングビル、それともマチルダかしら? ま、あたしはどっちでも構わないけど、まずはあなたから聞かせてもらえる? そこの子からどうしてマチルダ姉さんって呼ばれているのかとかをね」
キュルケに指を突きつけられたロングビルは、ぐるりと周りを見渡すと目を伏せ、
「ま、いい機会か」
と、小さく呟いた。
「まあ、薄々気付いているだろうけど、ロングビルってのは偽名でね。マチルダ・オブ・サウスゴータってのが本当の名前だよ」
「サウスゴーダ……あれ、もしかして」
キュルケの視線を受けたロングビルが頷く。
「ご想像の通り。わたしの父親が元々この辺りの太守だったんだよ」
「じゃ、この子は? 髪の色とか違うけど、マチルダ姉さんって呼んでるってことは腹違いの妹とかなの?」
キュルケが指差した先には、皆の視線を受けビクッと身体を震わせ縮こまるティファニアの姿が。
「妹みたいなものだけど、本当の妹ってわけじゃないよ。この子は……わたしの父親が仕えていた主の娘さ」
「へぇ、そうなんだ。そんな子がこんな孤児院みたいな村にいるってことは―――」
ティファニアが悲しげに目を伏せる様子を見て、キュルケは続く言葉を飲み込んだ。
ロングビルは一瞬だけ悲しげな顔を浮かべたが、直ぐにいつもどおりの不敵な笑みを口元に浮かべると、後ろに手を突き身体を反り晴れ渡った空を見上げた。
「まあ、ご想像の通りだね。色々とあって、わたしとこ
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