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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第九話 アドルフィーネ・ガランド
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に預けるのはやはり気が引ける。ガランドを含む三人が注視する中、考えをまとめて和音は口を開いた。

「一つだけ、条件があります」
「なんだい?」
「ガランド少将が直接ご自分でテストをなさってください」

 これには流石のガランドも驚いたようだった。身を乗り出してワケを問う。

「それはつまり、わたしの部隊でテストしろ、ということかな?」
「もちろんそれもありますが、ガランド少将自身にもテストして頂きたいのです」
「……それはなぜだ?」
「一つには、直接体験したほうが得るものが多いと言う事。二つ目は、誰とも知らない人に機体を預けたくないこと。そして三つめが――」

 そこまで言って和音は少しばかり遠慮がちに言葉を継いだ。

「その、ガランド少将はやっぱり空が好きなんじゃないかなぁ、って思ったので……」

 途端、キョトンとして成り行きを見守っていたガランドが腹を抱えて爆笑する。

「はははっ!! そう来たか! うん、いいよ。私が直接テストしよう。ただ、ここでは無理だな。一度、本国の実験部隊に持ち帰らんことにはどうにもならない。なに、上の連中は私が黙らせるさ」

 どうやらガランドも納得がいったらしい。
 さっと席から立つと、煙草を灰皿に押し付けてドアの方に向かう。すぐにでも機体を持ち帰りたいのだろう。どこの馬の骨とも知れぬ将校に機体や情報を渡すのは嫌だったが、この人なら信頼できる――和音はそう思った。

「さっそくで済まないが、機体を貰っていくよ。テストが終わって、そうだな……2週間後にはひとまず君の下に返還する。それでいいかな?」
「構いません。ただ、万が一壊れた際には整備も修理も不可能です。それを理解しておいてくださいね?」

 胸に刻んでおくよ、と言い残して、ガランドは司令室を出ていった。視察や訪問に長ったらしい時間をかける文官寄りの将校とは違う、何事にも行動的な彼女の性格がそのまま表れているようでもあった。

「……渡してしまって、良かったのか?」
「はい。どのみち、いつまでも隠しては置けないでしょうから」

 坂本の問いに答える和音。

「そうか、お前がいいならそれでいい。以後の訓練では紫電改を使うとしよう」
「了解です」

 かくして、未来の産物であるF-15は、一時的にカールスラントの手に渡ることになった。
 その成果が目に見える形で和音たちの目の前に現れるのは、もう少し先の事である――

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