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Magical Girl Lyrical NANOHA− 復元する者 −
第4話 白と黒の邂逅
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意識は回復してきたが、衝撃のダメージが抜けきっていない。
掠れた声で、双子の兄の名を呼ぶ。
声に気付いて、葛葉は抱き抱えたなのはに視線を向けた。
意識が戻り、無事な様子に安堵したのか。
不機嫌そうな顔付きを和らげ、なのはに語りかける。


「大丈夫か?なのは」

「……うん」


ゆっくりと確かに頷くのを見て、葛葉は視線を滞空している黒衣を纏う少女へと向け直す。
昨日の件もあってか、瞳の中に静かな怒りを見せる彼に少し怯む様子を見せた。
構うことなく、葛葉が冷静な声音で話し出す。


「昨日振りだね。通り魔さん?」

「っーーー!?……好き好んで貴方を襲った訳じゃない」


葛葉の物言いに多少の動揺を表すが、直ぐに消え、無表情に戻る。
その感情の制御を見て、自身の中の考察に確信を持つ。
やはり、戦い馴れている。
戦闘においての心の乱れは命取り。
昨日の身のこなしや、状況判断から察するに戦闘訓練を受けている。
これでは、なのはが勝てるわけもない。

それを解らず、挑みに行った愚妹の蛮行に内心で呆れ返る。
心の中でため息をついていると、今度は少女の方が尋ねてきた。


「貴方は何故ここに?」

「愚妹の魔力反応がしたから様子を見に来たんだよ」

「……愚妹……?」


最初は葛眉を潜め、怪しむ表情を浮かべるが大切そうに抱き抱えられている なのは を見て、得心のいった顔をする。


「その子が?」

「残念ながらな……それで?目的はまた“これ”か?」


葛葉がなのはを片手で抱き抱え直し、空いた手の指先で何かを摘まみ、少女に見せる。
指先に摘ままれた“それ”を見て少女の顔色が変わる。
そこにあったのは、目の前で抱き抱えられている なのは と奪いあっていた蒼い宝石(ジュエルシード)


「いつの間に!?」

「移動しながら回収させてもらった。これをなのはと取り合っていたんだろ?」

「ーーー渡して下さい」


少女が葛葉に、鎌に変わったデバイスを向ける。
葛葉は表情を変えず、話し続ける。


「別に渡してやってもいい。なのはは君に“敗けた”んだから。勝者には褒美がないとな?」

「これは遊びじゃない」

「その通りだ。遊びじゃない。だから聞きたい」

「?……何をーーーー」

「僕の片割れ(きょうだい)を傷付けて迄、何故これを集めるのか……その理由を知りたい」

「っーーー!?」


微かな殺気が放たれる。
少女は一瞬、身体を強張らせるが、直ぐに肩の力を抜いてデバイスを構え直す。
その挙動を見て、なのはとの練度差を実感する。
殺気に反応して固まってしまったのを見る限り、対人戦の経験が少ないようだが。

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