ターンEX 真紅のロードを歩む龍
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彼は思う。彼にとって転生者とは、これまで星の数ほど消し去ってきた存在がそうであったように、ここまで追い詰めれば絶望的な表情を見せるはずだった。原作では存在しない展開。自分だけの特権だと、そう思い込んでいたシンクロモンスター。白黒の枠を持つそのモンスター群を『自分だけが』使いこなせるから、そう信じていて事実そうであったからこそ原作のキャラ相手に無双を続けられる。だからそれを使う自分は彼らにとって数か月、下手をすれば十数年ぶりに出会った対等な条件で戦う相手となる。彼に言わせれば転生者にとってGXとは、例えるならばぬるま湯のような世界なのだ。シンクロもエクシーズも転生者以外は存在すら知らないゆえに、計り知れないほどのアドバンテージを持ち続けることができる世界。そんなところにずっと浸かっていれば、どれほどデュエルを続けようと本人の腕が鈍っていくのは必然のはずだった。それに初めて気が付いた彼らの顔が絶望にゆがむのを見ながら叩き潰してやるのは、仕事というよりむしろ自分の楽しみであった。なのに、この男はどうだろう。あの笑い顔に腹が立つ。なんで絶望しないんだ。そんな理不尽な怒りが彼の体を駆け巡り、頭にかぁっと血がのぼる。二ヤリ、とユーノが悪い笑みを浮かべたのさえ見ていなかった。
「スカーレッド・ノヴァでグングニールに攻撃、バーニング・ソウル!」
スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン 攻4800→氷結界の龍 グングニール 攻2500(破壊)
ユーノ LP2700→400
ユーノ LP400 手札:1 モンスター:なし 魔法・罠:1(伏せ)
冨野 LP1500 手札:2 モンスター:スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン(攻) 魔法・罠:1(伏せ)
結論から言えば、ユーノの狙いは富野の頭に血をのぼらせること。早い話、先ほど笑って見せたのは単なるブラフである。そういう意味では狙いどおりにいったのだが、それをするために彼が受けたダメージはさっきとは比べ物にならない。清明は闇のゲームについて『ダメージ量は痛みに比例しない』という法則を見つけた気になっているが、実際にはそれは違うことをユーノは薄々感づいていた。彼の説はこうである。いわく、
『痛みはそれをもたらすカードの質に比例する』
と。わかりやすく例を挙げると、黒炎弾の2400ダメージとレッドアイズの攻撃による1000ダメージで感じる痛みは黒炎弾のほうが多いもののそこまで変わるわけではない。だがこれはどちらも同じレッドアイズの攻撃及び必殺技カードによるダメージだったからである。ここでいうカードの質とは、決してレアリティのことではない。使用者の愛着やそのカード自体の持つ力のことである。彼のメインデッキでいうと精霊体になれる霧の王にチャクチャルア、それとシャーク・サッカーあたりの攻撃が闇のゲームで
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