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チートだと思ったら・・・・・・
十五話
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、俺が導く。この世界をより良き方向へ。だから、お前は去れ。もう、近づくな」

「そんなこと、できるか」

ネギと友になった、明日菜を好きになった、チャチャゼロの弟子になった。いまさら、去れるか!

「なら、去りたいと思わせるまでだ!」

「お前の思い通りに、行くと思うな!」

ゲイ・ジャルグを手に突っ込む。小細工は無用、全開の出力で、全開の速度で、目の前の男を打倒する!

「馬鹿が!」

ああ、そうだった。コイツは行ってたな。自分はクー・フーリンそのものだと。それは、エミヤの身体能力を得られなかった俺とは違うと言うことだ。
俺はセンリガンですら見切れぬ速度で放たれたまさしく”神速”の突きに体の各所を穿たれ、倒れ伏した。





あの後、俺はエヴァンジェリンによって治療された。どうやら、フェイトが脱出した時の転移魔法を察知したらしい。ゲイ・ボルクには怪我の治癒を阻害する力もあったはずだが、それはアイツが意図的に押さえたのかエヴァンジェリンが上手く治療してくれたのか、特に問題にはならなかったようだ。明日菜達がどうしたのかと問い詰めては来たが、魔族が襲ってきたと嘘をついておいた。

「…………」

「おい、アイツどうしたんだ?」

「心ここにあらず、だな」

あの日以降、何をしても上の空だ。全てアイツの事で埋め尽くされ、他のことを考える余裕が殆ど無いのだ。考えた所で、真に英雄の力を手に入れたアイツに敵う術などないのに。

「健二! どうしたんだよ暗い顔して!」

(ちょ! 空気嫁!)

(何故そこで話しかけられんだ!)

「ああ、別に何とも……って、どうしたんだその顔」

何気なく顔を向けると、包帯だらけの友人の顔が眼に映った。これには俺の脳も一端アイツの事を考えるのを放棄した。

「いや、美砂がチンピラに絡まれててさ。勿論速攻で助けに行ったぜ! 人数が多くてボコボコにされたけどな」

いやー、見てた人が助けを呼んでくれなかったらやばかったとのたまう友人に、俺は唖然とする。それに気付かずか、そいつは話を続ける。

「そんでさ、俺中国武術研究会に入ったんだ。部長が美砂のクラスメイトでさ、特別に直接指導してもらってんだぜ! 練習はきついけど、今度こそは守りたい。俺がそう思って、そう決めたから頑張れる」

自分がそう思って、そう決めた。俺はその言葉に心を打たれた。俺はどうしたい? そんなの決まってる、明日菜のそばにいたい。だが奴がいる。実力の差は言うまでも無い。諦めろ。諦めない! たった今、そう決めた!

「俺、早退する!」

「おう、行って来い」

俺は鞄も持たずに、教室を飛び出した。



「な、なんだったんだ?」

「さっぱり分からん」


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