マザーズ・ロザリオ編
転章・約束
結城家乱入?
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訳だが………如何せん俺は他の兄妹、蓮や沙良のように『得意な』系統が無い。良く言えば『何でも出来る天才型』、悪く言えば『器用貧乏』なのである。
そこで若かりし頃考案したのが、『写返し』。相手の構えや呼吸から攻撃軌道を予測、全く同じ動きをして技を相殺するという何とも無茶なものだった。
当然、すぐに破るものが出てきて廃した。しかし、発想は間違っていないはず。
さらに、やむを得ない事情が出来たのも手伝って、俺はその技を改良するために『攻撃を相殺する達人』である《鏡水》不知寺住職華宛院尼闇という老婆に師事したのだ。
食事の片付けを終えると、俺が寝ていた本堂(?)とは別の堂に行き、準備体操を始める。この準備体操もただのものではない。
身体中のありとあらゆる筋肉、足の先から指の先までとにかく全身の筋肉を伸ばす。普段は使わないようなところまで刺激したせいか、初日から引きずっている筋肉痛の痛みがぶり返してくる。
「……こんな、もんか」
座った状態から立ち上がり、丁度入ってきた師匠に一礼する。
「坊よ」
「はい」
「お主のその技はあたしの見たてではほぼ完成したと見た。後は自分でやれるだろう」
「……はい」
正直疑わしい。しかし、ほぼ完成したというなら、そうなのだろう。
「今からあたしが様々な技を掛ける。最初はゆっくりやるので慌てるでないぞ。―――いざ」
一瞬にして臨戦態勢に入った相手に臆する事なく、こちらも身構える。何処かで葉が落ちた音と同時に両者は同時に飛び出した。
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夕刻。
「……着いたか」
道無き山道を延々と下り、時に登りながら3時間かけてようやく京都の東端、伏目稲荷神社付近に着いた。
久々の人里は正月という事もあり、中々に賑やかで疲れはててヨボヨボしている自分が何処か場違いに思えた。
取り合えず早めの夕食を適当にコンビニで済まそうと歩き出した瞬間、電波が通った事で復活した携帯端末がメールの着信を知らせた。
数件、和人達や知り合いからのあけおめメール、事務連絡、そして呼び出しのメール。
差出人は蓮だ。
「ん……京都来てんのか」
水城家には昔から懇意にしている寺だの神社だの名家だのがあって、それらの殆んどが京都にある。蓮兄は次期当主筆頭のため、それらへの挨拶廻りに来たのだろう。ご苦労な事だ。
それに合流せよ、との呼び出しだった。
「……って、京都駅かよ。微妙に遠いなコラ」
螢は頭をぼりぼり掻きつつ文句を言い、雑踏の中を歩き出した。
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