第十七話 狂乱の宴
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かに気が付いているようだった。
「殺気の一つも無かったから放っておいたが、これ以上タダで手の内を晒す訳にもいくまい」
「確かに趣味が良いとは言えねぇ。何より隠れて見てるだけっていうのが気にいらねぇ」
何だろう……。
急に戦いが止まったかと思うと、アーチャーとランサーは何やら意味深な会話を始めている。
誰かが私達を覗き見している…?
「おい!隠れている奴、いい加減出てきやがれ!!こちとらさっきからテメェの事に気付いてんだ。コソコソ隠れてねぇで姿見せやがれ!!」
アーチャーとの会話を続けていたかと思うと、急にランサーが大声で叫んだ。
フィールド全体に響くのではないかと思うぐらいの、怒声だ。
声は辺りに反射し、木霊して私達の耳へと届く。
声の反射が徐々に小さくなり、聞こえなくなる。
と、その瞬間だった。
「……ひっ――――!?」
と、一瞬だが生ぬるい空気が首筋を撫でた様な気がした。
その微妙な感触は、悪寒となって全身を奔る。
不快感と言うよりも恐怖に近い。
「呵々々々、よもやまたしても気付かれるか……。なるほど、やはり此度の戦は雑魚が少ないようだ」
思わず声のした方へと顔を向ける。
私から見て丁度右手側。
そこに其れはいた。
赤い。
其れは人の形をした殺意の塊だった。
人ならざるモノ。
そのサーヴァントは品定めでもするかのように私達を見ている。
この世界に来てから初めて味わう明確な殺意。
私の体は、再び硬直し動けなくなってしまった。
「……ふむ、先程から感じていた視線の正体、それは貴様だったか」
「如何にもアーチャー。この程度の気配遮断で気付かないようならば、消して来いと命令されていたが……それは無用のようだな」
「ふざけてんじゃねぇぞ暗殺者風情が。コソコソ隠れるだけ隠れて隙を見て消すだぁ?ぶっ殺されてぇのかてめぇ…」
「―――――――――――――!!」
あまりにも物騒な会話。
相手を消すとか、殺すとか。
そんな言葉を当たり前のように使う3人の会話。
私は、そんな彼らに圧倒されながら、崩れ落ちそうになる体を必死で耐える。
「見つけた……」
突然私の耳に恨みの籠ったような声が届いた。
声のした方へ視線を移す。
ランサーのマスターである少女が眼を細め、歯を喰いしばりながら男を睨んでいる。
「やっと見つけたよ……アサシン…!」
アサシン……。
今、少女はそう言った。
暗殺者のサーヴァントであるアサシン。
彼女はその正体を知っていた。
何かの恨みがあるのか、少女の眼光は鋭いまま。
「皆を殺した仇……此処で取ってみせる」
私はその言葉に、思わず息をのみ、後ずさりをしてしまった
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