第十七話 狂乱の宴
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「ふっ――――!」
同時にアーチャーは構え、迎撃の態勢を取る。
「……!!」
私は何とか立ち上がって、その戦いを見守る事しか出来なかった。
どんどん速度を上げ、槍を奔らせる。
その度にアーチャーは双剣を使い、ランサーの槍をかわしていく。
懐に入らせはしないとするランサーと、双剣で間合いを詰めるアーチャー。
二人の奏でる鉄の打ち合う音は、絶え間なくリズム上げていく。
「―――――――」
一瞬の攻防が、長い時間に感じる。
見ている此方も息が詰まる。
ランサーの槍は、速度を落とすことなく一瞬でアーチャーの急所を捕らえようとする。
その度にアーチャーは双剣で防ぐが、衝撃で何度も武器を失った。
だけどそれも一瞬。
次の瞬間にはアーチャーの手の中に剣があり、ランサ−を迎撃する。
その度にランサーもわずかに後退し、相手の間合いを推し量らんとする。
瞬間に間合いが離れる。
二人の戦いが始まって、何分と経っていないが私には何時間という長い時間に感じられた。
仕切り直しをする為か、ランサーが間合いを大きく離す。
「妙な技を使いやがる。二刀使いの弓兵なぞ聞いた事がない」
「弓兵であろうと、必要とあれば剣を使うし、槍で刺すこともあるだろうさ」
「……狸が、減らず口を叩きやがる」
両者が軽口を叩き合う。
アーチャーは余裕がなかったのか、少々肩で息をしている。
ランサーはと言うと、心底楽しそうに槍を構えながら言葉を発する。
「……いいぜ、訊いてやるよ。テメェ、何処の英雄だ」
ランサーの発した言葉は尤もな質問だと思う。
アーチャーは弓使いでありながら戦闘のほとんどを双剣でこなしている。
私も彼の正体を知らない。
「それを君が訊くかランサー。君ほどの腕前なら数刻打ち合えば、私の正体など分かってしまうと思ったのだがね」
彼はニヤリと笑うとランサーに向けて軽口を返す。
この男、人を怒らす事に関しては天下一品なのではないか。
そう思うほどアーチャーは挑発が巧かった。
「……つくづくムカつく野郎だな、テメェ」
ランサーが眉を顰めて言葉を返す。
その表情から、苛立ちが見て取れる。
一触触発の空気が流れる中、周りの緊張感が再びピークに達する。
だが、不意にその緊張の張りつめた糸が切れた。
「そう言えば、気づいているかランサー」
ふと、アーチャーがそのような言葉を漏らした。
急にそんな事を言い出すから、見ていた此方も一瞬緊張が解けた。
「……ほう、こっちばかり相手にしていると思ったが、まさかテメェも感づいていたか」
ランサーは口元を歪め、アーチャーの問いに答える。
その口ぶりから、アーチャーもランサーも何
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