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まるで、少女マンガじゃないか。
出逢って一目ぼれ、そこから奇妙な関係へ発展、告白、なんて。
定番中の定番じゃないか。
小さい頃、他人への関心が限りなく薄れていた頃、こんなことは実際にありえないと思っていて。
現実はそう簡単で幸せじゃないって、思っていて。
だから、自分がこうなるなんて信じられなかった。
でも今、私はそんなありきたりな台詞を口にしている。
聞いた相手も、ありきたりな困惑顔を見せている。
時間の流れが、限りなく緩やかに感じられて。
「あの、キリア」
レオの声が、耳朶を打つ。
なんとなく、その先を聞きたくなくって。
「明日・・・明日、聞くから!じゃあね!」
何処まで少女マンガな展開を持ち込むんだ、なんて思いながら、私は転移門に飛び込む。
少女マンガが馬鹿に出来なくなってきた。
転移時の光で視界が青く染まる前、レオの、何か言いた気な表情が脳裏に強く残っていた。
島島
もう、なんてからかわれたって良い。
とにかく今は、誰かに落ち着かせて欲しかった。
私はアルゲートへ飛ばずに、22層の森林エリア・・・そう、兄たちのログハウスへと走った。
トントン、と軽くノックをし、
「お兄ちゃん、アスナさん、居る?」
中へ聞こえるように言った、
「キリアちゃん?」
「キリア?」
ドアが開き、二人が顔を見せる。
「お兄ちゃん、アスナさん・・・・」
私の目には、涙がたまっていただろう、きっと。
ログハウスの中に入ると、私は先ほどまで起きていた出来事を二人に打ち明けた。
「キリアちゃん・・・・」
アスナさんが、私の頭をそっと撫でてくれる。
ふと、涙腺が緩んでしまう。
あの、レオの困惑顔は、どう見たって断る顔じゃないのか。
心配で、不安で、苦しくて。
私は、ぽろ、と涙をこぼした。
「キリア。・・・その、レオって奴、だれ?」
「え?」
「レオって、だれ?」
お兄様、笑顔が怖いです。
「えっと・・・レオは、レオ」
「ふーん 何時会ったの」
「2週間ちょっと前・・・」
「へー」
「お、お兄ちゃん?」
「ソイツのホームタウン何処?」
「まさか・・・」
「乗り込みます。じゃあ行ってくる」
「ちょっとお兄ちゃん!」
私が叫ぶも兄はさっさと準備をし、ドアをパタンとしめて出て行った。
「の・・・・逝けくそ兄貴ぃぃぃ!!」
ログハウス全体に私の声が響いた。
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